https://www.asahi.com/articles/ASL7V5588L7VULFA01J.html

 経営難のJR北海道に対し、国土交通省は新たに400億円ほどの支援に踏み切る。JR会社法に基づく監督命令も出し、再建を促す。
27日に発表する。ただ、低金利に伴う基金の運用難や人口の減少といった原因は構造的。再建の道のりはなお険しい。

 JR北海道は近年、年400億円を超える営業赤字を出し続けており、2017年度は過去最悪の416億円。純損失は87億円にのぼった。
資金ショートで列車の運行ができなくなるとして、JR北海道は30年度までの長期支援を求めた。北海道新幹線が現在の新函館北斗から札幌まで延びるタイミングだ。

 これに対し国交省は19、20年度の2年間で計400億円ほどを支援する方針を決めた。併せて、自助努力を求める監督命令を出す。

 JR会社法は、1987年の旧国鉄の分割民営化にあわせて設けられた。同法では、経営基盤の弱いJR北海道、四国、貨物の3社に、国土交通相が監督命令を出せる。JR北海道への監督命令は、レール点検の改ざんを踏まえた14年以来、2度目だ。

 JR北海道は数多い赤字ローカル線のうち5路線5区間を廃止する方針。計311・5キロで全路線の1割強にあたる。沿線自治体の同意を得てバスに転換し、収支の改善につなげたい考えだが、一部自治体との協議はまとまっていない。

 また、分割民営化の際に国から受け取った経営安定基金の17年度の運用益は255億円。低金利を背景に87年度の半分ほどだ。

 日本全体の人口が減り続けるなかで高速道路の整備は進み、地方での鉄道離れは止まらない。どこまで支援すべきかという議論は、やはり経営難のJR四国だけでなく、本州や九州にも多い赤字ローカル線のあり方につながる。(北見英城)