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猛暑日続きで蚊もへたばる?

 国内の観測史上最高気温が更新されるなど、各地で記録的な猛暑が続いている。夏といえば蚊の季節だが、「今年はあまり蚊を見かけない」とインターネット上で話題に。言われてみれば、確かに記者も今年はあまり刺されていない。ということは、酷暑で蚊もへたばっているのか。取材してみた。

 「蚊の活動が鈍くなり、殺虫剤の売り上げが減少している」。こう話すのは、「KINCHO」の商標で蚊取り線香などを販売する大日本除虫菊(大阪市西区)の広報担当者。「具体的な数字は明かせない」としながらも、今年1〜7月の売り上げは前年同時期より減少しており、記録的な猛暑となった7月15〜21日は「売り上げが特に伸びなかった」と明かす。

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 年間約1200億円とされる殺虫剤市場は近年、猛暑の影響で害虫の活動が弱まり、売り上げは減少傾向にある。アース製薬(東京都)によると、平成29年の市場で3割強を占めた「ハエや蚊」のジャンルは、売り上げが28年に比べて10%減少した。

 埼玉県熊(くま)谷(がや)市で7月23日、観測史上最高となる41・1度が観測されるなど、今年は異次元の暑さが続く。大阪管区気象台によると、7月中旬(11〜20日)の近畿2府4県の平均気温は平年より3・4度高く、過去最高を記録した。

 害虫防除技術研究所(千葉県)によると、国内に生息している代表的な蚊は「ヒトスジシマカ」と「アカイエカ」の2種類。25〜30度で活動が活発化するが、30度超になると日中に飛び回ることが減る。夜行性のアカイエカと比べ、昼行性で暑さに強いヒトスジシマカも35度超となると動きは鈍り、日陰や葉の裏で休むことが増えるという。

 同研究所の白井良和所長は「人間と同様、蚊も猛暑でへたばる。日中に飛び回ることが減り、肌感覚として『蚊が少ない』と感じる人が多いのでは」と話す。

 蚊の生態などを研究する長崎大熱帯医学研究所の砂原俊彦助教(衛生動物学)は「蚊の寿命は10日間程度だが、30度以上の日が続けば屋外にいる蚊の死亡率は高くなり、寿命がより短くなる」と指摘。実際に蚊が減ったのかは不明とした上で、「今年は梅雨が短く猛暑日が続いたことで、蚊の発生源となる水たまりが干上がったり、幼虫が乾燥したりして、成虫の蚊が少なくなった可能性がある」と分析している。

2018.8.3 15:35
産経ニュース
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