人類は2万年以上前から、田畑を耕し穀物や果物を栽培する農業で自らの食糧を確保しています。そして、農業の歴史は、作物を食い荒らす虫・鳥・イノシシなどとの戦いの歴史でもあります。アメリカのブルーベリー畑で作物を鳥に食い荒らされている農家が、全自動のレーザーかかしを置くことで鳥の撃退に見事成功したと報じられています。

実際にレーザーかかしが動いている様子は以下のムービーで見ることができます。

Laser bird deterrent at a Blueberry farm - 99% bird reduction!
https://youtu.be/1FL5iSoSM1g

ジャスティン・メデュリさんは、オレゴン州ジェファーソンでサクランボとブルーベリーの畑を管理しています。毎年収穫時期になると鳥が2000羽から3000羽ほどの群れでやってきて、畑のブルーベリーを食い荒らしてしまいます。その損害は畑にあるブルーベリーの4分の1、およそ10万ドル(約1100万円)にも達するとのこと。

メデュリさんは、かつてブルーベリー畑から鳥を追い払うために鷹匠を雇ったこともありました。しかし、鷹はコストがかかる上に気難しく、逃げることもあったそうで、「害鳥を追い払う」という役目はほとんど果たしてくれなかったとのこと。そこで、メデュリさんは、Bird Control Groupが製造する全自動のレーザーかかしを自分の畑に導入することを決心したそうです。

メデュリさんは1.35km×0.7kmの畑に6基のレーザーかかしを設置しました。

まるで監視カメラのような見た目をした装置がレーザーかかしです。レーザーによる鳥抑止技術は鳥の本能を利用していて、鳥は接近するレーザービームを捕食者と認識し、逃げてしまいます。Bird Control Groupが開発するレーザーかかしは、もともと空港や企業農場で使われていたもので、太陽光パネルによる電力で動作し、不規則なパターンで発射する緑色のレーザー光線で鳥を威嚇します。

メデュリさんの畑を昼間に訪れると、地面に緑色の光の粒が走っている様子を見ることができます。開発した当初はレーザー光線によって、人間や野生動物の視力を奪ってしまう危険性があるとして、動物愛護団体からも苦情が寄せられましたが、Bird Control Groupはレーザーを照射する方向や出力を調整することでこの問題を回避。Bird Control Group製のレーザーかかしは、世界自然保護基金(WWF)からイノベーション・有効性・動物愛護の点で表彰されています。

メデュリさんはレーザーかかしの結果にとても満足していて、「あれだけ私を悩ませた鳥が今では1羽もやってきません」と喜んでいます。なお、レーザーかかしの価格は1基でおよそ9500ドル(約100万円)ですが、Bird Control Groupの北米事業開発担当ディレクターのウェイン・アッカーマンさんによると、「農業機械としては手頃な価格」とのこと。Bird Control Groupはアメリカへの本格的な進出を考えていて、既に2019年には石油精製所や倉庫など、農業にとどまらずさまざまな顧客を相手に300基以上のレーザーかかしを販売する予定にあるそうです。

2018年08月13日 17時00分
https://gigazine.net/news/20180813-bird-control-group-laser/

全自動のレーザーかかし
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