東京 中野区の酒井直人区長は、住民の間で賛否が分かれている「中野サンプラザ」の建て替え計画について、計画どおり、建物を取り壊す一方、新しい施設に中野サンプラザの名前を残すなど記憶を継承する方法を検討する考えを明らかにしました。

東京 中野区の「中野サンプラザ」は、およそ2000人を収容できるコンサートホールやホテルなどを備えた施設で、区の子会社が運営しています。

中野区は建物が老朽化したことや、新しい施設で得られる賃料などを、区役所の建て替え費用に充てることなどを理由に、今の建物を2024年をめどに取り壊し、1万人収容のアリーナを中心とする複合施設に建て替える計画をまとめています。

しかし、一部の住民などから反対する意見が出て、ことし6月に就任した酒井区長は、計画を再検討する考えを示していました。

こうした中、酒井区長は11日の区議会で「周辺各地区の整備と密接に関連していることを考慮し、再整備に向けた検討を進展させていく」と述べ、計画どおり、建物を取り壊す方針を明らかにしました。

そのうえで「歴史や実績といった記憶、形状や機能といった形、ブランドとなっている名前、この3つのDNAを、新しいサンプラザに引き継いでいくことに注力したい」と述べ、新しい施設に中野サンプラザの名前や特徴的な形状を引き継ぐなど、施設の記憶を継承する方法を検討する考えを示しました。

数多くのコンサートが開かれてきた「中野サンプラザ」は、オープンから半世紀で姿を消し、中野の街の新しいランドマークとして生まれ変わることになります。

■中野サンプラザとは

「中野サンプラザ」はJR中野駅の北口にある地上20階、地下3階の多目的施設です。

座席数およそ2000のコンサートホールをはじめ、ホテルや貸しオフィス、結婚式場やボウリング場などを備え、個性的な外観とあいまって中野のシンボル的な施設として知られています。

昭和48年に当時の労働省が所管していた特殊法人が運営する「全国勤労青少年会館」としてオープンしました。

故・美空ひばりさんが芸能生活30周年と40周年のコンサートを開くなど歴史的なコンサートが数多く開かれました。

松浦亜弥さんやモーニング娘。をはじめ、若い世代に人気のアイドル歌手にも多く利用され「アイドルの聖地」とも呼ばれました。

さらに人気バンド「爆風スランプ」のボーカルで、現在の「サンプラザ中野くん」が芸名に使ったこともあって、全国的な知名度を誇ります。

一方、建物の中にはレストランなどもあり、地元の人たちにとっては、生活に根付いた施設としての一面もあります。

平成16年、特殊法人の事業の合理化を進めたい国とJR中野駅前の再開発を進めたい中野区の思惑が一致して、区が出資する第三セクターに売却され、現在は中野区の完全子会社が運営しています。

中野区が、ことし3月に打ち出した計画では、今の建物を2024年をめどに取り壊し、1万人を収容できるアリーナを中心に、マンションや貸しオフィス、商業施設などを備えた複合施設に建て替えるとしています。

しかし、地元の住民の間では建て替えに賛成する意見がある一方、中野の街を象徴する建物が姿を消すことに反対の声もあがっていました。

■建て替え計画の経緯

中野区はJR中野駅前を再開発する一環として、中野サンプラザと隣接する区役所の建物を取り壊し、一新する計画を平成23年に示しました。

取り壊す理由として中野区は、施設が老朽化し、大規模な改修には多額の費用がかかることや、一新した施設の賃料などを、区役所の建て替え費用の一部に充てることを挙げていました。

しかし、ことし6月に行われた中野区長選挙で区の職員だった新人の酒井直人氏が計画の再検証を訴え、当選を果たしました。

酒井区長は就任後の会見で「中野サンプラザを残す、残さないの議論がこれまでなかった。建て替えありきの話になっていた」と述べ、建て替えの是非を改めて検証する考えを示しました。

■サブカルチャーの街 象徴

■街の人たちは

以下全文はソース先で

2018年9月11日 17時06分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180911/k10011624691000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180911/K10011624691_1809111651_1809111707_01_02.jpg