女性の車に全地球測位システム(GPS)機器を付けた男の行為がストーカー規制法違反の「見張り」に当たるかが争われた裁判の控訴審で、福岡高裁(岡田信裁判長)は20日、見張りと認められないとする判決を言い渡した。見張りと認定して懲役1年(求刑・懲役2年)とした1審・福岡地裁判決を破棄。実際に女性を見た行為のみを認め、懲役8月とした。

 男は福岡県内の会社員(46)。2016年2〜3月、福岡市などで、別居中だった当時の妻の車にGPSを付けて位置情報を取得したり、親族宅にいた妻を外部からじっと見たりして見張ったなどとして起訴された。高裁判決は「見張り」について、「視覚などを使った観察と解するのが自然」と指摘。言葉の意味を超えて処罰することは許されないとの判断を示した。

 争点が同じ別の事件で、今回とは異なる福岡高裁の裁判長は昨年9月、見張りと認める判決を言い渡している。

 諸沢英道・元常磐大学長(犯罪学)は「法律がストーカー行為を限定しすぎており、裁判官も苦慮しているとみられる。海外では見張りと認めるのが一般的で、法改正を検討すべきだ」と指摘した。


YOMIURIONLINE 2018年09月21日 09時53分
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180921-OYT1T50041.html