長野県内で、食パン専門店の出店が相次いでいる。販売するのは、スーパーに置かれている製品の倍以上もするような高級品だが、売り切れる日もあるほどの人気ぶりだ。

 「日常的に食べるものなので、味や品質にこだわりたい」。千曲市のパート社員(55)は今月上旬、同市杭瀬下の「心技味 食ぱん道 千曲店」で食パンを購入し、満足そうに話した。

 同店は今年7月オープン。店内の棚には、カナダ産小麦などを使い、モチモチとした食感や甘みが楽しめる「ぷれーん」や、国産小麦100%の「ゆたか」など、通常5種類の食パンが並ぶ。値段は税込み290〜520円。

 店長の伊藤チカさん(26)によると、女性客が多く、リピーターも増えている。「友人への手土産として購入する人もいて、週末など売り切れる日もあります」。来月には、長野市にも開店する予定という。

 高級食パン専門店は4、5年前から注目を集めるようになった。火付け役と言われるのが、大阪市を拠点とする「高級『生』食パン専門店 乃が美」だ。県内でも「乃が美 はなれ 松本店」(松本市芳野)が昨年6月、「乃が美 はなれ 長野販売店」(長野市鶴賀緑町)が同12月にオープンした。

 人気を集めるのは、「『生』食パン」(レギュラーサイズ税込み864円)で、ハチミツが入っていて、ふんわりと甘い。焼かずに、まずはそのまま食べるのがお薦めという。

 ほかにも、「焼きたて食パン専門店 一本堂」が長野市三輪と、同市稲里町中央にそれぞれ店舗を構えている。北海道産と九州産の上質な小麦をブレンドし、焼くと小麦の香りが楽しめる「日本の食パン」(税込み360円)が看板商品だ。

 近年の食パンブームについて、総合情報サイト「オールアバウト」グルメガイドで、1級フードアナリストの里井真由美さんは「特別な日ではなく、日常生活の中でちょっとぜいたくを楽しみたいという意識の消費者が増えた」と分析。さらに、高級食パンが軟らかさを強調していることなどから、「口溶けの良さを求める高齢者にも支持されているようだ」と話している。

素材や製法にこだわった食パンが並ぶ「心技味 食ぱん道 千曲店」(千曲市で)
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ふわっとした食感や甘みが特徴の「乃が美」の食パン(長野市で)
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2018年10月18日 17時51分
YOMIURI ONLINE
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