https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-45987425

「大勢に囲まれてるのに……すごく寂しい」、解消法は 5万5000人を調査
2018/10/26 4時間前

BBCが2018年のバレンタインデーに、孤独に関する調査「孤独の実験」を開始したところ、5万5000人という驚異的な人数が世界中から参加してくれた。過去最大の孤独に関する調査となったこのプロジェクトを立ち上げたBBCのクローディア・ハモンド記者が、調査結果を報告すると共に、3人にそれぞれの孤独の体験を尋ねた。

ミシェルさんの場合

「まるでぽっかり穴があいたみたいな、空っぽの感覚です。いい知らせにせよ悪い知らせにせよ、話す相手がいないんです。自分の人生にそういう相手がいないのは、場合によってすごくつらい」
ミシェル・ロイドさん(33)はロンドンで暮らしている。人懐っこく、よくしゃべり、仕事も楽しんでいる。何もかも順調のように見えるが、寂しい。これまでいくつかの街に暮らしたため、友達は国内各地に散らばっており、週末は子供のことで忙しくなりがちだ。ミシェルさんは仕事のあとに同僚と飲みに行くこともあるが、もっと深い人付き合いが恋しいと話す。
「おしゃべりがすごく得意で、誰とでも話せるけど、だからと言って、長続きする関係が築けるとは限りません」

「グループでいるとびくびくしてしまうこともある。『本当の自分』をさらけ出さらないように意識しているので」
「いつでも何かしら、寂しさを感じていたと思います。10代のころから、自分は周りと少し違っていて、大勢の友人から切り離されているように常に感じていました。でもここ5年はその感じが前より強くなった」

ミシェルさんは不安やうつを経験しており、それが孤独を増幅させることがあるという。否定的な感情を言葉で表現するのが、自分には難しいからだ。
「何人かと一緒にいるとき、調子はどうかと聞かれたら、大抵は『元気だよ』って答えてしまいます。まるで幽体離脱みたいな感じです。前向きなことを自分が言っているのを聞きながら、心の中では、昨日ベッドから出るのにどれほどつらかったかを思い出しているので。頭の中で自分の感情を分かっているのに、誰にも言うことができないという孤独です」

孤独は主に、高齢で人と接する機会がない人を襲う感情だという一般的な思い込みがある。もちろん、そういう孤独も実際にある。しかしBBCの調査では、若い世代の方が高齢者を孤独を感じていた。どの国でも同じだった。

この調査はオンラインで行われたため、年齢の高い人たちは参加しにくかったかもしれないし、孤独な人ほど回答しがちだったかもしれない。しかし、若い人ほど孤独だという結果が出た調査はこれが初めてではない。BBC調査よりも規模は小さいものの、世相を的確に反映していた英統計局の2018年4月調査(対面とオンライン)でも、若者のほうが孤独を感じている人が多かった。

現代の生活の何かが、若者の孤独リスクを高めていると結論付けたいところだが、今回の調査で高齢者に、今まで一番寂しかったのはいつかと尋ねたところ、やはり若い時だったという答えが返ってきた。

若者の方が孤独を感じるかもしれない由はいくつかある。16〜24歳は、引っ越したり自分のアイデンティティを構築したり、新しい友達を作ったりといった移行の時期であることが多い。
一方で若い人たちは、孤独が一時的なもので、新しい友達を見つけたり、古い友達と再び仲良くしたりするきっかけになるのだ、場合によっては有益なものでさえあるのだと、まだ経験できていない。孤独は場合によっては、前向きな経験になり得ると、41%の人が答えているのだが。

ミシェルさんは、自分の孤独や心の健康状態について、これまでずっとオープンにしてきた。ブログにも書いている。誰もができることではない。調査からは、高齢者と比べ若者の方が、自分の孤独を他人に話せる様子がうかがえたが、それでも、孤独を感じている若者の多くが、孤独なのは恥ずかしいと思うと答えた。それでは調査に参加した高齢者は、私たちに本当の気持ちを話すのをためらったのだろうか? それとも高齢者は寂しさを紛らわす対処法を見つけているのだろうか。
(リンク先に続きあり)