北朝鮮が16日に発表した先端戦術兵器の実験が、地対艦誘導ミサイルのシミュレーションだったと、北朝鮮関係筋が明らかにした。海上からの侵攻を防ぐ効果があり、北朝鮮が2回目の米朝首脳会談に対する交渉に意欲を示す一方で、自国への攻撃を想定した開発を続けていたことになる。

 同筋によれば、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長も同席し、海上を移動する目標に、地上から発射したミサイルを命中させるシミュレーションを行った。朝鮮中央通信は兵器の詳細は明かさず、「領土を鉄壁に防衛して軍の戦闘力を著しく強化する」と説明していた。

 北朝鮮は朝鮮戦争の教訓として、海上からの侵攻を防ぐ地対艦ミサイルの開発に力を入れてきた。同通信は昨年6月、正恩氏が新型の地対艦巡航ミサイルの試射を視察したと報道した。同筋は16日に発表した先端兵器も、昨年6月と同系列のミサイルだとした。

 韓国の軍事専門家の話では、北朝鮮は兵器の精密度を上げるため、レーダー施設やGPS技術の改良に努めてきた。韓国の情報関係筋は、北朝鮮が6月の米朝首脳会談後も全国の核・ミサイル関連施設の活動を継続していると指摘した。北朝鮮軍は12月から定例の冬季軍事演習を始める見通しだ。(ソウル=牧野愛博)

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