先月30日に亡くなったアメリカのブッシュ元大統領の国葬が、首都ワシントンで行われます。アメリカでは、国葬が営まれる5日は「国民追悼の日」として休日になっている中、ブッシュ氏のひつぎが置かれている連邦議会の議事堂へは多くの弔問客が訪れており、全米が追悼ムードに包まれています。

先月30日に94歳で亡くなったアメリカのブッシュ元大統領の国葬は5日に行われます。

これに先立って、ブッシュ氏のひつぎは大統領専用機で地元の南部テキサス州から首都ワシントンの連邦議会の議事堂へと運ばれ、3日間にわたって一般の市民も含めた多くの弔問客が訪れ、元大統領の死を悼んでいます。

また、ブッシュ氏が同じ共和党でも距離を置いていたことで知られているトランプ大統領も3日、メラニア夫人とともに議事堂を訪れて弔問しました。

そして、ブッシュ氏のひつぎは5日(日本時間の6日未明)、ワシントン大聖堂に運ばれ、日本の福田元総理大臣など各国の要人らも参列して国葬が営まれたあと、再び地元テキサス州に運ばれます。

その後、ことし4月に亡くなった妻のバーバラ夫人の隣に埋葬される予定です。

アメリカでは、国際協調を重視し東西冷戦を終結に導いたブッシュ元大統領の功績をたたえる論調が続いており、国葬が行われる5日は「国民追悼の日」として連邦政府の機関などが休みになっているほか、全国の公共機関ではおよそ1か月間にわたってアメリカ国旗が半旗で掲げられることになっており、全米が追悼ムードに包まれています。

ブッシュ氏弔問に市民の行列
ブッシュ元大統領のひつぎは3日から連邦議会の議事堂に置かれ、議会の前には弔問に訪れる市民の長い列ができています。

ブッシュ氏の地元南部テキサス州から来た退役軍人の52歳の男性は「偉大な大統領を失ったのは本当に悲しいことです。ブッシュ政権時代に空軍にいたので、弔問に来るのは私の義務です。ブッシュ氏とともに国に仕えることができたことを感謝しています」とその死を悼んでいました。

また、中西部オハイオ州出身の42歳の男性は「ブッシュ氏は言動が誠実で、プロフェッショナルな大統領でした。ブッシュ時代と比べたら今は寛容さがなくなり、分断が深まっています」と話していました。

また、東部メーン州から来た41歳の女性は「ブッシュ氏は自分と考え方が異なってもそれを表現するための場を提供し、表現の自由を歓迎していました。そうした雰囲気が今は失われてしまったように感じます」と話していました。

南部バージニア州から来た37歳の共和党支持者の女性は「ブッシュ氏はわれわれを1つに結束させるために多くのことを成し遂げてくれました。残念ながら今は、国は分断し、国民も結束しているとは言えません」と話しました。
そのうえで「ブッシュ氏はすばらしい仕事をしましたが、それは1990年代の話です。ブッシュ氏が退任してからは、2001年に同時多発テロが起きるなど、アメリカはすっかり変わりました。今の時代を生き抜くためには、政治よりもビジネスを重視するようなトランプ大統領のほうが合っているのかもしれません」と話していました。
ニューヨーク証券取引所 取り引き行わず
ブッシュ元大統領の国葬が営まれる5日が「国民追悼の日」として休日になることから、ニューヨーク証券取引所と、主にIT関連などが上場する新興市場のナスダックは、取り引きを行わないことにしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181205/k10011735661000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181205/K10011735661_1812051615_1812051620_01_02.jpg