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あおり運転 摘発強化で検挙倍増
2018年12月10日 18時03分

神奈川県の東名高速道路であおり運転で停車させられたワゴン車がトラックに追突され家族4人が死傷した事故。この痛ましい事故をきっかけに、「あおり運転」を始めとする悪質で危険な運転への社会的な批判が高まりました。こうした運転に対し、警察庁はことし1月、あらゆる法令を駆使して捜査を徹底するよう全国の警察に指示しました。

全国一斉の取締まりも実施され、ヘリコプターを使った上空からのパトロールなど、「あおり運転」に対する取り組みが強化されました。

警察庁によりますと、車間距離を極端に詰めるなど道路交通法に違反したとして検挙された「あおり運転」はことしに入って10月末までに全国で1万873件に上り、去年の同じ時期のおよそ2倍に増えています。

また、危険な運転行為に対し、暴行罪や傷害罪を適用して検挙したケースがことしはこれまでに17件ありました。

一方、全国の警察は将来、重大な事故を起こすおそれがあると判断したドライバーに対し、交通違反の点数の累積が無くても運転免許の停止処分が出せる道路交通法の規定もことしから積極的に適用しています。

このうち、運転をめぐって暴行や脅迫のトラブルを起こしたドライバーに対する運転免許の停止処分はことしは10月末までに全国で41件と、年間で6件だった去年をすでに大きく上回っています。

ドライブレコーダーで見る あおり運転の実態

ドライブレコーダーの開発や販売を行っている「JAFメディアワークス」は、交通安全活動などに役立ててもらおうと、ドライブレコーダーの映像の投稿サイトを立ち上げて、事故や危険な運転の動画を紹介しています。

今回の事故が大きく報道されて以降は、「あおり運転」の動画の投稿が特に増えているということです。このなかには、高速道路を走るトラックが前のトラックの後ろに車間距離をほとんど空けずに接近し、道を譲ることを迫るように、ハンドルを何度も左右に切って車体を揺らしている様子や、目の前に入ってきた車が突然、ブレーキを踏んだかと思うと、横を通り過ぎようとした際にも急ハンドルで車体を寄せ、進路を妨害してくる様子など、危険な運転の状況が記録されています。

「JAFメディアワークス」の鳥塚俊洋部長は「実際の路上ではささいなことで感情が高ぶり、互いにあおり、あおられるという状況に陥ってしまうことも多くある。あおられる側だけでなく、あおる側にとっても非常に危険で、エスカレートする前にお互いが冷静になることが必要だ」と話しています。

ドライブレコーダー出荷台数が倍増

ドライブレコーダーの普及活動を行っている協議会などによりますと、ことし4月から9月までの半年間に国内で出荷されたドライブレコーダーは165万台余りで、今回の事故が大きく報道される直前の去年の同じ時期に比べておよそ2倍に急増しています。

協議会は、「ドライブレコーダーは平成17年ごろから業務用の車両で普及が進んできたが、マイカー向けは去年の秋以降に販売台数が急増している。悲惨な事故の報道をきっかけに一般の関心が高まっていると考えられる」と分析しています。