人のような形をした根が生え、「引き抜くと叫び声を上げる」という伝説で知られる植物・マンドラゴラが、兵庫県南あわじ市八木養宜上の観光施設「淡路ファームパーク・イングランドの丘」で昨年に続いて開花した。今年は奇妙な外観の植物を併せて展示し、見学者をファンタジーの世界にいざなう。

 マンドレイクとも呼ばれる地中海沿岸などが原産のナス科の植物。魔術や呪術、錬金術などを行う薬の材料とされ、「叫び声を聞いた者は死ぬ」との言い伝えがある。旧約聖書やギリシャ神話にも記述があり、小説や映画、アニメなどに数多く登場する。

 開花の事例は全国でも少なく、イングランドの丘では昨年12月に初めて咲いた。今年は同じ株が19日、直径約2センチの紫色の花を付けた。3〜4日で新たな花に入れ替わり、来年1月中旬頃まで見られそうだという。

 前回の開花時は、報じたインターネットのニュースサイトの閲覧ランキングが一時、全国トップを記録。イングランドの丘のホームページに接続しにくくなるなど反響を呼んだ。2年連続で咲くのは予想外といい、展示ケース内の温度管理に注意を払っている。

 マンドラゴラには「大切に育てると幸福が訪れる」との伝承もあるといい、以前に根を引き抜いて植え替えた経験がある栽培担当の後藤敦さんは「叫び声は聞こえなかったので、おかげ様で健康に過ごしています」と笑顔を見せ、「小さな植物から大きな想像を膨らませてもらえたら」と語った。

 イングランドの丘では他に、変わった形や不思議な雰囲気を漂わせる植物を集め、「マンドラゴラと幻想植物」と題してコアラ館で展示している。

 「植物に姿を変えられた亀」として紹介されたのは、南アフリカ原産のディオスコレア・エレファンティぺス。数十年かけて根元が亀の甲羅のような形に成長する。「悪魔の爪」と呼ばれるイビセラ・ルテアの実は、熟すと皮がはがれて鋭い2本の突起が現れる。竜の硬いうろこを連想させるセロペギア・ボッセリ、ウサギの顔のような形の葉が増えていくモニラリア・オブコニカも並ぶ。

 入園料は中学生以上800円、4歳〜小学生400円。問い合わせはイングランドの丘(電話番号はソースでご確認下さい)。(高田寛)

2018年12月22日 15時48分
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マンドラゴラ
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ディオスコレア・エレファンティぺス
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セロペギア・ボッセリ
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モニラリア・オブコニカ
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