新たな路面交通システムを「SRT」と名付けます−。バス型の最新公共交通の導入を検討している名古屋市は19日の市議会都市消防委員会に示した構想案で、自動運転や制御技術を取り入れた「未来型のバス」のイメージを描き出した。2027年のリニア中央新幹線開業時に全面開通できるよう、実証実験や事業計画の策定を目指す。

SRTは「スマート・ロードウェイ(路面)・トランジット(交通手段)」の略称で、市が有識者とともに命名した。従来は「BRT(バス高速輸送システム)」と呼んでいたが、速いだけの移動手段ではなく、先端技術を備えたスマートな車両で街を回遊するような感覚を楽しんでほしい、との思いを込めたという。

市が公表したイメージ図には、バリアフリー型の広い扉や前後左右の景色を楽しめる大きな窓、将来の自動運転にも対応できる運転席の姿が描かれている。昨年六月に車両開発の連携協定を結んだトヨタ自動車もデザインに協力した。車線の多い主要道路の歩道側を運行し、テラス席のあるカフェなど街並みとの一体整備につなげたい考えだ。

開発を目指す車体には、車いすやベビーカーで乗降しやすいよう停留所と車体の隙間なく停車できる「正着制御技術」や、運転補助や複数台での隊列走行を可能にする自動運転技術、燃料電池など走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない環境技術を導入する。

市は将来的に名古屋駅、名古屋城、栄、大須の主要四地区を十分間隔で運行するSRT網でつなぐことを目指す一方で、構想案には開発に要する時間や費用、自動車交通への影響や他の交通事業者との調整といった、事業化に向けた課題も明記した。目指すべきスケジュールをただした斎藤高央議員(自民)に、光安達也・住宅都市局長は「リニア開業時にSRTの効果を最大限発揮できるよう、精力的に取り組む」と述べた。(谷悠己)

2018年12月20日
中日新聞
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