西川社長逮捕も? 日産ゴーン事件はマンガのような展開に
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 日産前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)が2018年3月期までの直近3年間の役員報酬(約40億円)を有価証券報告書に過少記載した疑いがあるとして、
東京地検特捜部は10日、金融商品取引法(金商法)違反の疑いで、前代表取締役グレッグ・ケリー容疑者(62)とともに再逮捕した。特捜部は同日、15年3月期
までの5年間の役員報酬(約50億円)の「過少記載」について、ゴーンらを起訴したが、再逮捕容疑の「直近3年間」の経営トップといえば、他ならぬ、ゴーンを
「負の遺産」と切り捨てていた現在の西川広人社長(65)だ。

■日産経営陣も特捜部も総退陣の恐れ

 驚くのは、朝日新聞やNHKなどで西川社長が「退任後の報酬の合意文書」に署名していたと報じられていることだ。文書は、退任後のコンサル契約や同業他社の
役員就任を禁止する契約の対価として支払うことを決めた「雇用合意書」で、ゴーンや西川社長の他、幹部社員が署名していたという。

 西川社長は特捜部の調べに対し、「役員報酬の支払いとは認識していなかった」と説明しているらしいが、経営トップとして「退任後のコンサル契約」や「同業他社の
役員就任を禁止する契約」を結ぶ理由や法的な問題について、知らなかったはずがない。それに「契約の対価」としての合意文書であれば正規手続きであり、「報酬の
先送り」ではなかったことになる。つまり、ゴーンと西川社長の認識は一致していたということで、ゴーン再逮捕なら当然、“共犯”である西川社長は逮捕を免れないだろう。

 元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏も、〈ゴーン氏「直近3年分再逮捕」なら“西川社長逮捕”は避けられない〉と題したブログでこう指摘している。

〈有価証券報告書の虚偽記載罪というのは、「虚偽の記載をすること」が犯罪なのではなく、重要な事項について虚偽の記載がある有価証券報告書を「提出」することが
犯罪とされる。それを正確に記載して「提出」する義務を負う作成名義人は、日産の場合であればCEOであり、2017年3月期以降は、西川氏である。西川氏の
「退任後の報酬の支払」についての認識がゴーン氏らと大きくは変わらないとすると、直近2年分については第一次的に刑事責任追及の対象となるのは西川氏である〉

 郷原氏があらためてこう言う。

「直近3年分の有価証券報告書の虚偽記載を立件するのであれば、西川氏の立件は避けられないのではないか。そうなれば日産経営陣は崩壊です」

 西川社長が臨時取締役会を開き、ゴーンらを電撃解任した理由は「取締役として善管注意義務に違反する不正行為」だった。

 取締役会では「これはひどい」などとゴーンを批判する声が漏れたらしいが、かじ取り役を務めた西川社長も同じ穴のムジナだったなんて、まるでマンガだ。

 日産経営陣はもちろん、特捜部も解散になるかもしれない。