名古屋城木造復元の現状を説明した河村市長(右端)=名古屋市中区栄の鯱城ホールで
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 二〇二二年末の完成を目指す名古屋城の木造復元事業について、本年度の進捗(しんちょく)状況を名古屋市の河村たかし市長らが説明するシンポジウムが二十七日、同市中区栄の鯱城ホールであった。会場の市民からは事業推進への賛同のほか、疑問や課題を指摘する声も出た。

 シンポでは、市が復元する天守にエレベーターを設置せず新技術の開発によってバリアフリーに努めることを昨年五月に公表したことや、それについて安全性への疑問の声がある現状を報告。石垣の保全に関しては専門家から「不十分」との指摘を受け、現時点では文化庁に天守復元の基本計画を提出できていないことを伝えた。

 市民からは「エレベーターに代わる新技術の実物を早く見せて障害者の方々を安心させられないか」との意見があり、担当者は「二〇二〇年度以降に予定される試作品の審査を皆さまにお伝えできるようやっていきたい」と回答。

 別の市民からは「元国会議員の市長が文化庁から許可が下りるよう手腕を発揮して」との要望があり、河村市長は、名古屋城は戦後にコンクリートで再建された城を木造復元する最初の事例のため、文化庁から丁寧に事業を進めるよう指示されていると説明。「ものすごい決意をもって当たっていく」と応じた。

 このほか、中京大の白根孝胤(こういん)教授による「写真資料で読み解く幕末維新の名古屋城」と題する講演もあった。(垣見洋樹)

中日新聞 2019年1月28日
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