節分にその年の恵方(今年は東北東)を向いて無言で食べると、縁起が良いとされる「恵方巻き」。

近年、大量に売れ残り廃棄される「食品ロス」が社会問題となっており、兵庫県内の小売業界も対策を迫られている。

生産量を例年より減らしたり、予約販売を強化したりするなど廃棄量削減の動きが広がっている。

節分に巻きずしを食べる風習は関西発祥とされるが、今では全国的な風物詩に定着した。

ただ近年、販売競争の激化による供給過多で、大量廃棄が問題に。

農林水産省は1月、スーパーやコンビニなど小売業界団体に、需要に見合った量を販売するよう初めて通知した。

兵庫県内のあるスーパーでは昨年、約3千本の売れ残りが出たという。

総菜大手のロック・フィールド(神戸市東灘区)は今年、「確実に売り切る」ために昨年の販売実績よりも生産量を減らすことにした。

代わりに具材を刷新し、平均単価を数十円上げることで昨年並みの売り上げを見込む。

販売がほぼ節分当日に集中する恵方巻きは天候などに客足が左右され、ロス(無駄)が生じやすい。

同社の担当者は「大幅に商品が足りない状況にならない限り、来年以降も販売量を絞っていく」とする。

予約販売に力を入れるのはマックスバリュ西日本(広島市)。

予約は以前から5%引きで、今年は特定の予約商品に即席みそ汁を付ける特典も設けた。

当日のみだった受取日も2月1〜3日の3日間に増やした。

イオンリテール(千葉市)も予約商品の具材を充実させ、今年の近畿2府4県の予約件数は前年比30%増という。

店頭での売り切りを目指す動きも。関西スーパーマーケット(伊丹市)は一部商品の価格を前年から100円下げた。

また、高齢者や子どもも食べ切れる半分サイズの商品を増やした。

生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)は今年から、当日商品が足りなくなった店に、別の店から在庫を運ぶことを計画。

担当者は「食品ロスを減らせるようしっかり取り組みたい」と話す。

https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/201902/0012032007.shtml