「第3のビール」訴訟 サッポロビールへの酒税返還認めず
2019年2月6日 14時07分 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190206/k10011805691000.html

大手ビールメーカー「サッポロビール」のビール系飲料、「極ZERO」が税率の低い「第3のビール」に当たるかどうかが争われた裁判で、東京地方裁判所は、会社側の訴えを退け、国に納めた115億円余りの酒税の返還を認めない判決を言い渡しました。

「サッポロビール」は、6年前に税率の低い第3のビールとして発売した「極ZERO」が国税当局から第3のビールに当たらない可能性があると指摘され、115億円余りの酒税を自主的に納めました。

しかし、その後の会社側の調査で第3のビールに当たるとして、国に酒税の返還を求めています。

6日の判決で、東京地方裁判所の古田孝夫裁判長は「製品の製造工程で採取されたデータを検討した結果、第3のビールには該当しないと判断した」としてサッポロビールの訴えを退けました。

ビールメーカーと国が酒税をめぐって争った裁判の判決は初めてです。

判決について国税庁は「国側の主張が認められたものであり、妥当な判決と考えている」というコメントを出しました。

■区分により異なる税率

酒税法では「ビール」と「発泡酒」、それに「第3のビール」は、原料や麦芽の比率、製法などで区分けされ、それぞれ税率が異なります。

国税庁によりますと、ビールは麦芽やホップなどを原料に、麦芽の比率が50%以上のもので、350ミリリットルの1缶当たり77円の酒税がかかります。

発泡酒は主に麦芽の比率が25%未満で、酒税は1缶当たり47円です。

「第3のビール」は平成18年の税制改正で初めて定められました。
原料に麦芽を用いないか、発泡酒に別のお酒を混ぜたもので、酒税は1缶当たり28円と3種類の中では税率が最も低くなっています。

ビール系飲料の酒税は税負担を公平にするため、7年後の2026年までに段階的に税率を同じにすることがおととしの税制改正で決まっています。

最終的には3種類とも1缶当たり54.25円に一本化され、ビールは減税、発泡酒と第3のビールは増税になります。