https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20190215k0000m040066000c.html

交通渋滞や私有地への無断立ち入りなど「観光公害」が深刻化している京都市の祇園で、市がマナー違反を注意するスタッフを巡回させるなどの対策を検討している。迷惑行為に悩む周辺住民のSOSに応えた形で、市は住民と相談しながら具体的な方法や導入時期などを決める。

京都最大の花街・祇園は、市道の「花見小路」を中心に、お茶屋や屋形(置き屋)、飲食店が軒を連ねる。「一見(いちげん)さんお断り」の伝統で、もともとは他の観光地に比べて観光客数が多くなかったが、数年前から観光客らが急増。特に外国人客による私有地での写真撮影や、ごみのポイ捨て、立ち小便など、深刻なマナー違反が目立つようになっている。

 これを受け、住民団体「祇園町南側地区協議会」は昨夏、観光客の迷惑行為に関するアンケートを実施。地元のお茶屋や飲食店などからは「店内や民家へ無断で立ち入る」「芸舞妓(げいまいこ)を追いかけ強引に立ち止まらせて撮影する」「敷地内に食べ物や飲み物のごみ、吸い殻を投棄する」など200件近い被害や苦情が寄せられた。京町家の破壊・落書きなどで警察に通報したケースもあった。結婚するカップルが記念写真を撮りに訪れるケースもあり、「(新婦が)往来でドレスを着替えていて驚いた」と話す住民もいる。

協議会は昨年11月、アンケート結果を市に提出し、対策を要望。市は今年1月末、▽英語や中国語ができるスタッフらが巡回し、マナー違反を注意▽祇園かいわいにいる観光客らのスマートフォンへ順守すべき法令などを自動的に配信▽防犯カメラの設置――などを新たに提案した。

一方、協議会は近く京都女子大との共同の取り組みでマナー違反に対する啓発グッズを作製・配布する予定。観光客による私道での写真撮影を禁止することも検討している。市の対策案には「もっと厳しくてもいい」としており、要望書を門川大作市長に提出する方針だ。

市は「まだ検討の段階で対策を例示しただけだが、住民の方々と話し合ってよりよい方法を探りたい」としている。
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