かつて、宇都宮(栃木)の空にはおじさんの顔が浮かんだことがあるらしい――。Jタウンネット編集部はある日、そんな冗談のような情報を入手した。

話題の発端となったのは、栃木県のおすすめスポットなどを紹介する「栃ナビ!」のツイート。

 「なんか知らんが見物人の心に強烈なインパクトを残した「宇都宮の空におじさんの顔を浮かべる」というアートプロジェクトから早5年か。いや非常に面白かった。飽きずにずーっと見上げてたもん。今でも次の作品、待ってるんだけどまだかな?改めて写真見ると、相当ヘンですわねこれ。」

こちら、宇都宮美術館が2014年に行ったアートプロジェクト「おじさんの顔が空に浮かぶ」の模様だ。確かに、インパクト抜群。上の画像をまじまじと見てみても、あまりのシュールさに自然と笑いが込み上げてきてしまう。

いったいこれはなんのために行われたものだったのだろう――。

■空には人間の素の顔が浮かぶのがふさわしい

Jタウンネット編集部は19年3月26日、「おじさんの顔が空に浮かぶ」の運営に携わった宇都宮美術館総務学芸課の担当者に当時のことについて話を聞いた。

ユニークな企画にはいったいどんな意図が込められていたのか聞くと、

 「ワークショップに参加して顔を集める、プロジェクトのボランティアに参加して活動する、当日『顔』をたまたま目撃する...など、様々な立場で関わる中で、美術に親しみを持ってほしいというのが事業のねらいでした」

と担当者。様々な紆余曲折がありながら、14年の12月14日に宇都宮市郊外の道場宿緑地、21日に錦小学校で晴れて「おじさんの顔」を浮かべることになったのだという。なぜよりによっておじさんの顔なのかというと、

 「こどもの顔は『かわいい』、女性の顔は『美しい』といった判断基準に簡単に回収されないで、空に浮かぶべき『顔』は人間の素の顔、あるいは適度に自然でほったらかしの顔がふさわしく、それが『おじさん』であると説明しています」

とマジメな返答。どうやら「適度に自然でほったらかし」のおじさんの顔に並々ならぬ情熱があったようだ。

実際に浮かべた時の反響はどうだったのか聞くと、

 「個人的に最も印象に残っているのは、お化けだと思ったのか号泣した小さな男の子がいたことです」

たしかに、空に突如おじさんの顔が浮かんでいたら泣き出す子がいても不思議ではないような気も...。

今回ネットで再び話題になったことを受けての感想を聞くと、

 「宇都宮で行ったプロジェクトが再度注目されてよかったです。ぜひこのプロジェクトだけでなく、アート全般に感心を広げてもらえれば良いなと思います」

と再注目されたおじさんの顔からアート全般への関心の拡大に期待を寄せた。今後も宇都宮の空におじさんの顔が浮かぶことがあるのかというと、

 「アウトリーチ事業は行うかもしれませんが、当館で、このプロジェクトの実施予定はありません」

残念ながら、現状では予定していないそうだ。

4年以上の年月を経て、再び話題となった空飛ぶおじさんの顔。シュールな絵面に思わず笑ってしまうが、人の素の姿を空から訴えかけていた。またいつか空に浮かんでいる姿を見たいものだ。

2019年3月27日 17時0分 Jタウンネット
http://news.livedoor.com/article/detail/16225603/

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