https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201904/sp/0012210793.shtml

選挙戦“敵”は花粉症 10年で一、二の飛散量 鼻詰まりで演説滑舌悪く
2019/04/04 16:30

 目がしょぼしょぼ、鼻はぐずぐず…。統一地方選に立つ候補者や陣営スタッフにとって、この時期に猛威を振るう花粉症はいかんともしがたい悩みの種だ。「“敵”は他の候補者だけではない」「マスクをしたまま演説はできないものか」。点眼や鼻うがいを繰り返し、気合を込めてマイクを握っても、つらいものはやっぱりつらい。(まとめ・小川 晶)

 かゆい。とにかく目がかゆい。蓄膿(ちくのう)のような鼻詰まりも出てきた。まさか、よりによってこのタイミングで−。

 神戸市議選に初めて挑戦する40代男性は、決意を固めた3月上旬、これまで発症したことのない花粉症に突然かかった。見よう見まねで鼻うがいをしても、効果はそれほど続かず、すぐに鼻の奥がうずきだす。

 薬を試そうとも思ったが、眠気などの副作用があると知って飲んでいない。「花粉症に当たったということは、選挙もきっと当たる」。そう信じて、苦しみを紛らわす。
 兵庫県議選に立候補した50代の新人男性も、普段は使う飲み薬を選挙期間中は服用していない。毎朝、自宅を出る前に点眼、点鼻薬を欠かさず、選挙カーにはティッシュも常備する。
 「弱音をはいている場合じゃない。気合で乗り切るだけ」とこちらも勇ましいが、街頭演説の途中で耐えられなくなることも。素早く選挙カーに戻って鼻をかみ、訴えを続ける。

 演説の悩みを訴える候補者は他にも多いが、とりわけ深刻そうなのが播磨地方。県議選に臨む50代の現職男性は「滑舌が悪くなり、内容が伝わらない。4年前よりも症状がひどくて」とぼやく。実際、県疾病対策課によると、播磨地方のスギ花粉の飛散量は「この10年で一、二を争う多さ」。県内のスギ花粉はようやく終息傾向だが、続いてヒノキ花粉がピークに差し掛かりつつあるという。

 苦しみは陣営スタッフも変わらない。予防効果があるとされるヨーグルトを食べて体調を管理するのは、阪神北部で県議選候補の選挙カーに乗り込む女性運動員(34)。蜂蜜や喉あめを常に携帯し「きれいな声で応援するのが役目ですから」と気丈に話す。

 広大な兵庫。土地が変われば状況も変わる。花冷えが厳しい但馬地方の県議選候補者からは、こんな声も漏れる。「花粉症より、寒さ対策が大変です」