日本水産(ニッスイ)とその子会社である弓カ浜水産は3日、日立造船と共に、国内では初となる大規模なマサバ循環式陸上養殖の共同開発に着手したと発表した。

 ニッスイと弓カ浜水産のマサバ養殖技術と、日立造船の水処理技術を組み合わせ、鳥取県米子市に建設予定の実証施設を拠点に共同開発は行われる。同施設は、6月着工予定、2020年4月から稼働予定となっている。2023年3月末まで開発を続け、同4月から事業化する見通しとのこと。

 マサバはスズキ目サバ科に分類される魚で、亜熱帯・温帯の海に広く分布する海水魚である。ゴマサバなどが近縁種とともにサバと総称されるが、単にサバと言った場合はこのマサバのみを指す場合が多い。

 足がはやいため生食は敬遠されるが、〆鯖、鯖寿司、焼魚、煮つけ、唐揚げ、そして缶詰などの加工食品など、用途は幅広い。塩鯖、缶詰などの保存食としての加工が一般的ではある。

 さて、マサバは海水魚であるので、当然海面養殖も可能であり実際に行われているのだが、水温の変動に弱く、病気などのリスクが高いという問題がある。

 そこで、この共同開発で採られるシステムは、地下からくみ上げた海水(厳密には海水ではないが近い組成を持つもの)と、日立造船の水処理技術を活用した循環水処理システムによって、水温、水質をコントロールし、マサバの生育に最適な環境を保つというものである。

 外海の海水を使用しないため、サバにはつきもののアニサキスなどの寄生虫や、その他病害のリスクが低くなることが見込まれ、自然環境に左右されないサバの安定供給が可能になるという。

 具体的な課題としては、残餌・排泄物などの水質悪化の原因を効率よく取り除く技術、水中のアンモニアを硝化処理するためのシステムなどの共同研究が行われる予定となっている

施設外観。(画像:日本水産発表資料より
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