2019/04/06 21:48
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3月21日に今期最後の競りが行われたマツバガニ。安定供給で史上最高の漁獲金額につながった=兵庫県香美町香住区沖浦、柴山港

 3月20日に山陰沖で漁期を終えた2018年度のズワイガニ漁で、兵庫県但馬地域の漁船による漁獲金額が約43億1200万円(前年度比2・1%増)と、統計のデータ化を始めた1975年度以降で最高だったことが兵庫県但馬水産事務所のまとめで分かった。総漁獲量はピークの07年の約半分だが、高価なマツバガニ(雄)やセコガニ(雌)の漁獲増加が押し上げた。

 同事務所は「兵庫や鳥取でマツバガニやセコガニの水揚げが好調だった半面、北陸方面は振るわず、但馬産の需要が高まった」と分析。マツバガニの平均単価は1キロ当たり5607円で、17年度の6092円より下がったが高水準だった。

 但馬地域では昨年11月6日の漁解禁以降、但馬漁協と浜坂漁協の底引き網漁船計48隻が操業し、マツバガニ約532トン(同12・8%増)とセコガニ約468トン(同25・8%増)を水揚げした。安価な脱皮直後のミズガニ(雄、前年度は約167トン)は漁を自粛したためゼロ。漁獲総量は約千トン(同1・1%減)だった。

 シーズン序盤の昨年11、12月はしけの日が少なく出漁機会に恵まれたため、マツバガニとセコガニは2カ月で早くも、国から兵庫県に割り当てられたズワイガニ全体の漁獲可能量(約944トン)の8割超に当たる約831トンが水揚げされた。

 船主らでつくる「兵庫県機船底曳網漁業協会」は今年1月、自主規制の強化を検討。地元の観光業者らへの配慮からマツバガニの供給を優先し、例年1〜2月に漁期を設けるミズガニは初めて漁を全面自粛した。

 その後、日本海西部を漁場とする7府県の漁獲状況を踏まえ、兵庫には漁獲可能量約62・8トンの追加配分が決定。ミズガニ漁を自粛したことも奏功し、マツバガニの安定供給を漁期終了まで維持できた。

 同事務所は「ミズガニ漁を自粛して資源管理に取り組んだ結果、収入増にもつながった」としている。(金海隆至)