◇「平成」30年と3カ月あまりで幕

 天皇陛下は30日、退位される。午後5時から皇居・宮殿「松の間」で行われる国事行為「退位礼正殿の儀」に臨み、天皇として最後のおことばを述べる。象徴のあり方を追求し続けてきた「天皇としての旅」を終え、平成は30年と3カ月あまりで幕を閉じる。5月1日午前0時、皇太子さまが皇位を継承する。天皇の退位は江戸時代の光格天皇以来202年ぶりで、憲政史上初めて。退位後は上皇となり、上皇后となる皇后さまと共に公務から退く。

 陛下は昭和天皇の逝去により、1989年1月7日に55歳で即位した。天皇を象徴と規定した現行憲法下で初めての即位だった。

 在位中は被災地見舞いや戦没者慰霊を重ね、全都道府県を2巡。遠隔地の旅を大切にし、55の島に足を運んだ。皇后さまと共に積極的に国民の中に入って交流する姿は「平成流」として定着した。

 記者会見などでは、戦争を経験した天皇として、平和への強い思いをたびたび語った。最後の会見となった昨年12月には「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵(あんど)しています」と述べた。国際親善などの海外訪問は36カ国に上った。

 陛下が退位を周囲に初めて相談したのは76歳だった2010年夏だった。関係者によると、高齢になって身体が衰え、象徴としての活動ができなくなるなら退位すべきだと考えていたという。16年8月8日にビデオメッセージを公表し、象徴天皇のあるべき姿についての考え方を述べ、活動の縮小や摂政の設置に否定的な見解を示した。

 皇室典範には退位を定める項目がなかったため、政府は同年9月に有識者会議を設置し、議論を開始。17年5月に「国民の共感を受けた一代限りの特例」として退位特例法案を国会に提出した。特例法は翌6月に成立し、退位が可能になった。退位日は同年12月、皇室会議を経て閣議で決まった。【山田奈緒】

4/29(月) 23:43
毎日新聞
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