展示される葛城の遺物=10日、葛城市忍海の同市歴史博物館
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 葛城市歴史博物館と県立橿原考古学研究所付属博物館は同市忍海の同歴史博物館で春季企画展「発掘 葛城山麓の古墳」を開いている。葛城の遺物が一堂に会する貴重な機会となっている。6月30日まで。

 施設の改修にともない休館中の橿考研付属博物館所蔵の遺物75点と同研究所所蔵の遺物37点、同歴史博物館所蔵の遺物など計約180点を展示する。

 葛城山麓(葛城市内)の屋敷山古墳、火振山古墳出土の埴輪片や橿考研による発掘調査が行なわれた小型の古墳から出土した金銅装馬具や甲冑(かっちゅう)などの副葬品などが展示される。

 この地域は5〜6世紀に築造されたと見られる大小の古墳、群集墳が密集し、馬具や鏡をはじめ鍛冶具や鉄滓(さ)など豪華な副葬品が多く見つかっている。

 同館の担当者は「大型の屋敷山古墳などは葛城氏などの首長を葬ったと考えられるが、小規模な古墳は中間的な指導者、多くの群集墳は鉄製品生産などにかかわった渡来人のものと考えられる」と説明し、「古墳の出土物から当時の支配体制が垣間見え、興味深い」と話している。

 開館時間は午前9時から午後5時(入館は同4時30分)まで、毎週火曜日と第2・4水曜日休館。観覧料は一般200円、高校・大学生100円、小中学生50円。

 18日午後2時からは同歴史博物館の神庭滋館長補佐による記念講演会「葛城山麓の古墳」が、6月8日午後2時からは橿考研付属博物館の青柳泰介学芸係長の「脇田遺跡から見た古墳時代の葛城地域」が開かれる。いずれも同歴史博物館あかねホールで定員200人。入場無料、事前申し込み制。問い合わせ、申し込みは同館。

奈良新聞 2019.05.14
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