【ナイロビAFP=時事】アフリカ東部ケニアでは近年、中国で薬効があるとみなされるロバの皮を輸出するため、多数のロバが殺されている。動物愛護団体は16日、これによってアフリカ全体でのロバの頭数減少につながっているとして、ケニア当局に対し、ロバの大量解体を禁止するよう要求した。(写真はケニア・バリンゴにある、ロバ専門の解体処理場の様子)
 ロバの皮は、「阿膠(あきょう)」として知られる伝統薬の材料として、中国に輸出されている。この薬は血行促進、老化防止、精力増進、不妊治療に効果があると信じられている。
 動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」はAFPに対し、ケニアの解体処理場を調査したところ、ロバは作業員らに撲殺されるか、近隣諸国からトラックで長時間輸送される間に死んでいたという。
 PETAの広報担当者は、「PETAはケニアに対し、他の多くのアフリカ諸国同様、ロバの大量解体を禁止するよう求めている。この残虐行為の必要性は皆無であり、(薬の)有効性さえ証明されていない」と述べた。
 中国では、国内のロバ生息数が以前に比べてほぼ半減しており、その需要を満たすためにアフリカに目が向けられている。
 一部のアフリカ諸国はロバの皮の輸出を禁止し、中国人が所有する解体処理場を閉鎖。そのためエチオピアやウガンダなどから、多数のロバがケニアへ長距離輸送されているという。


時事通信 (2019/05/17-17:22)
https://www.jiji.com/jc/article?k=20190517038619a&;g=afp