2019年5月23日 7時0分
製パン最大手の山崎製パンが、今年3月26日、自社のウェブサイト上に〈「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示について〉と題したページを公開した。当初は大きな話題になることはなかったが、そのページの存在が知られるにつれ、業界がざわついている。

 どんな内容かを紹介する前に、「イーストフード」「乳化剤」について説明しておこう。これらはパン作りに使われる食品添加物である。

 イーストフードは文字通り、“イースト菌(酵母)の食べ物”で、イースト菌によるパン生地の発酵を促し、ふっくらしたパンを作るために使う。消費者庁の基準では、塩化アンモニウムや硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウムの他、計18種類の物質を総称してイーストフードと呼ぶことを認めている。乳化剤はパン生地の保水性を高めて柔らかさを保つために使われるもので、こちらも同様に、グリセリン脂肪酸エステルや卵黄レシチンなど25種類を総称して乳化剤と呼ぶ。

 この「イーストフード」と「乳化剤」をネットでキーワード検索すれば、「危険な毒物」だとして、これらが原材料に使われているパンは買うな、食べるなと警告を発するサイトがずらりと出てくる。一部の消費者には忌み嫌われている物質のようである。

 山崎製パンがウェブサイトで主張した骨子の一つは“イーストフードも乳化剤も危険なものではない”ということだ。

 ところが、スーパーのパン売り場を見てみると、敷島製パン(パスコ)やフジパン、神戸屋、タカキベーカリーの商品で、「イーストフード・乳化剤不使用」といった文言がパッケージで確認できた。イーストフード・乳化剤を使っていないのだから、原材料名の表示欄には当然、これらの名称は載っていないが、別のスペースでわざわざ強調して「不使用」を謳っているのである。

 前述した危険性を指摘するサイトなどでは、そうした「イーストフード・乳化剤を使用していないパン」を選ぶことが推奨されている。

 では、山崎製パンは当該ページで何を伝えようとしているのか。詳細を見てみよう。

 同社は、他の製パン会社の「イーストフード・乳化剤不使用」を謳うパンの成分を同社中央研究所で分析したところ、〈イーストフードや乳化剤と同等同質、あるいは同一の機能を有する代替物質を使用して製造された食パンや菓子パンであり、添加物表示義務は回避できますが、実際はイーストフードや乳化剤を使用して製造された食パンや菓子パンと何ら差のあるものではありません〉(山崎製パン公式ウェブサイトより)との結論に至ったという。

 同社が指摘する添加物表示義務を回避する技術とは、たとえば、イーストフードと同じ成分を含む天然物のドロマイト(炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを含む物質)を使い、原材料名の欄に「ドロマイト」と表示して、イーストフードの表記を避けるといった方法があるという。乳化剤についても、製造過程において原料の脂質に脂質分解酵素を混ぜて反応させ、乳化剤の一つであるグリセリン脂肪酸エステルを生成させることで、乳化剤の表記を避けるといった「技術」があると指摘している。さらに詳細を知りたい人は、当該ページで解説されているので、そちらをご確認いただきたい。

 そのうえで山崎製パンは、他社が「同等同質、あるいは同一の機能を有する代替物質」を使っておきながら、「イーストフード・乳化剤の不使用」を強調するのは、〈安全性が国際的に公認され広く使われているイーストフードや乳化剤に何か問題があり、「不使用」強調表示がされている食パンや菓子パンが、食品安全面、健康面で、あたかも優位性がある商品のように誤認される恐れがあり、適切な表示とは言えません〉(山崎製パン公式ウェブサイトより)と訴えている。

 しかし、ライバル社であっても直接的な批判は避けがちな日本の企業風土で、今回のような他社製品の表記にクレームをつけるケースは、非常に珍しい。

全文は下記でどうぞ
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/16502032/
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