◆ 自分の首切りつけた男 「両手に長い包丁を持っていた」

「怖い!」。
子どもの叫び声が聞こえ、現場近くの公園にいた会社員男性(57)は、カリタス小学校のスクールバスが停車するバス停の方を見た。

すると、中年の男がバス停付近の路上で、右手に持った刃物を振り回しながら、「ぶっ殺してやる」と大声を出していた。
周辺には、8人ぐらいの子どもが倒れていた。

サイレンの音を聞きつけ、現場に駆けつけた自営業の本田敏彦さん(60)は、スクールバスの運転手に話しかけた。
運転手は動転している様子で、「バス停から子どもたちの叫び声が聞こえたので、そちらに目をやると、男が両手に1本ずつ長い包丁を持っているのが見えた。その後、男は自分の首のあたりを自ら切りつけ、その場に倒れ込んだ」と話したという。

現場では、救急隊員らによって救命活動が続けられた。
複数の目撃者によると、現場近くでは、小学校低学年ぐらいの女の子が横たわり、救急隊員が心臓マッサージを繰り返していた。

大人の女性は首から血を流して倒れ、動かなかった。周りには血だまりが出来ていた。
スーツ姿の男性も血まみれで、腹部を押さえながら、くの字形になって倒れていた。

そばでは、ほかに4人ほどの女の子が血を流して倒れており、付近で警察官や救急隊員が対応していた。
救急隊員は子どもたちをストレッチャーに乗せ「大丈夫だから、もうすぐ着くから」と声をかけ続けた。服に血がついている子もいた。

ほかにも20人近くの児童が路上の縁石に腰掛け、ぼうぜんとした様子だったという。
現場には10個ほどのランドセルが散乱していた。

川崎市立多摩病院には午前9時前から、6歳から12歳の小学生5人が次々に搬送された。
ストレッチャーで運ばれた小学生は服に血が付いていて、ぼうぜんとした様子だった。
救急隊員が「頑張って、もうすぐだからね」と声をかけていたという。

朝日新聞 2019年5月28日11時41分
https://www.asahi.com/articles/ASM5X34N0M5XUTIL00G.html