2019年5月29日 16時0分
文春オンライン

 売上高約2400億円、家庭用の食酢で約7割のシェアを誇るミツカン。創業200年超、愛知県半田市の中埜家が代々経営してきた非上場の同族会社だ。

 現在は、中埜家の8代目当主である中埜和英・ミツカングループ代表取締役会長兼CEO(68)がトップを務める。和英氏は、高額納税者全国6位に名を連ねたこともある大資産家でもある。

 しかし今、中埜家にお家騒動が持ち上がっており、それはミツカン本体をも巻き込むほどにエスカレートしているという。

「すべては私を家族から追い出し、妻や息子と引き離すために画策されたことです」

 そう和英氏を告発するのは中埜大輔氏(38)。和英氏の次女で、次の当主と目される聖子氏(40・ミツカングループ専務)の夫だ。

 大輔氏は2013年、聖子氏と結婚し、中埜家に婿入りすると同時にミツカンに入社。だがほどなく、和英氏と妻の美和副会長から、些細なことで叱責されるようになったという。誤解を解くために直接話したい、と申し入れたら「私と直接話がしたいと言える立場か!」と突き放された。そして結婚1年後、ミツカンを退職せよとの勧告を受けた。

 2014年、義父母との関係が改善しないまま英国に居を移していた大輔氏夫妻に男児が誕生。中埜家にとって待望の跡継ぎ誕生を境に、圧力はさらに強まったという。

「義理の両親にとって、息子が誕生すれば私は用済みだったのでしょう」(同前)

 大阪の物流センターへの異動が指示された大輔氏は単身帰国を余儀なくされる。大輔氏はこの配転命令を「自分を家族から引き離すため」の不当なものであるとして、名古屋地裁に仮処分を申し立てた。

 2016年3月、名古屋地裁は、不当配転との主張を認め、異動を無効とする仮処分が下った。だが、今も大輔氏は日本に一人で暮らし、親子3人の生活は叶わないでいる。

 現在、大輔氏と中埜家・ミツカンとは4件の法的紛争を抱えているが、解決の糸口は見えていない。

 ミツカンの後継者問題に端を発する娘婿との確執について、和英氏は「回答は差し控えさせていただきます」などと回答。ミツカン広報部も「いずれも現在、審理中の事項でございますので、回答は差し控えさせていただきます」とした。

 5月30日(木)発売の「週刊文春」では、大輔氏と和英氏夫妻との対立が決定的となった「孫を私の養子にする」事件や海外を股にかけた中埜家の節税スキームなどについて詳報している。

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