JR大阪環状線を走る車両「201系」が7日、運行を終了し、半世紀にわたって同線の象徴として愛されてきたオレンジの車体が姿を消す。201系は環状線で最後となる国鉄時代の電車でもあり、鉄道ファンからも惜しむ声が上がっている。(江森梓)

 ■終了の理由は「乗車位置の統一」

 JR西日本によると、環状線では昭和36年の開業当初から車体をオレンジに塗装した「101系」などが運行。「環状線といえばオレンジの電車」と利用客らから親しまれた。

 201系は国鉄時代の54年以降に製造された電車で、同年にJR東日本の中央線快速で最初に運行。環状線には、平成17年に登場した。中央線快速では22年、新型車両の導入に伴い運行を終了したが、環状線では「古いものも大切に使う」として長い間運行していた。

 環状線でピーク時は16編成が走行。オレンジの車両のほかにも、大阪市此花区のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)へ向かう桜島線と接続する電車はUSJのキャラクターが車体に描かれ、乗客らの目を楽しませてきた。

 だが、201系と28年から環状線で導入が始まった「323系」ではドアの位置が異なり、JR西は201系の運行終了について、「乗車位置を統一することで混雑を抑える狙いがある」と説明する。201系はおおさか東線や関西線などでも運行されているが、いずれも車体は黄緑で、オレンジの201系は廃車となる。

 鉄道ジャーナリストの梅原淳さんは「201系は長らく活躍してきた電車であり、大阪環状線で走らなくなるのは一つの時代の区切りで寂しい。国鉄時代の電車は、大阪だけでなく多くの人の共通の思い出があり、惜しむ人も多いだろう」と話している。

 ■車両管理担当者「レトロ感が魅力」

 「愛着のある電車なので、引退は寂しい」。201系が大阪環状線に導入されたころから車両管理を担当してきたJR西日本大阪支社の安(やす)福(ふく)健太さん(33)は、引退する相棒の姿を感慨深く見守る。

 安福さんは入社してまもない平成17年に吹田総合車両所森ノ宮支所に配属され、10年以上にわたって201系の検査や修繕に携わってきた。201系はそれまで東海道線を走行していたが、カーブが多く負荷のかかる環状線仕様にモーターを整備。異音が聞こえるなどの車両トラブルもあったが、「その都度いろいろと手を加え、今では故障の少ない車両になりました」と振り返る。

 昔ながらの部品を使う201系は走行中にブレーキ弁を開閉すると、「プシューッ」と空気音が聞こえる。国鉄時代の車両のみに共通した特徴で、最近の車両にはみられない。「そうしたレトロな部分が残っているのが魅力」という。

 腐食防止などのため全体が塗装された鋼鉄製の201系と違い、後継となる323系はステンレス製で、銀の車体にオレンジのラインがデザインされている。安福さんは「323系のオレンジの線を見て、201系を思い出してもらえたら」と話している。


6/6(木) 11:46配信 産経新聞
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190606-00000532-san-soci
画像 7日にJR大阪環状線を最終運行する201系(左)。右は最新の323系=大阪市城東区(前川純一郎撮影)
https://amd.c.yimg.jp/amd/20190606-00000532-san-000-1-view.jpg