2020年東京五輪で、大会組織委員会が考えているボランティア向けの暑さ対策に、国内競技団体(NF)が「ダメだし」する一幕があった。

 組織委は18日、62のNF代表者を集めて非公開の会議を開いた。出席者によると、今月下旬から本格的に始まるテスト大会で、ボランティアにお茶や水などのペットボトルと塩アメを配布する案を説明した。

 それに対し、ボクシングの代表者から「水やお茶では熱中症をより促進してしまう。スポーツドリンクなどを用意しなければ」との意見が出たという。場は静まりかえり、組織委は「検証します」と引き取ったという。

 ボクシングの代表者は「外で長時間作業するボランティアは汗で塩分が失われる。そこに水を飲んだら血中の塩分濃度がさらに薄まり、また汗が出て重ねて塩分が失われる悪循環。お茶は利尿効果もあってなおさらだ。塩アメだけなめても十分じゃない。重症者、死者が出たら大変だ」と主張する。別のNFの担当者は会議後、「暑熱対策は今の案ではまずいのはみんな分かっている。このままというわけにはいかないだろう」と危機感を口にした。

 組織委の担当者は「暑熱対策は重要課題と認識して、組織横断的に検討しているところ」。今月中にも対策案をまとめて、発表する予定という。(塩谷耕吾)

2019年6月20日10時00分
朝日新聞デジタル
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