福岡県内の女性が、脳腫瘍による後遺障害が残ったのは、九州大学病院が検査で兆候を見落としたためだなどと訴えた裁判で、福岡地方裁判所は「病院の見落としがなければ後遺症を防止できた蓋然性が高い」として女性の訴えを認め、1億5700万円あまりの賠償を命じました。
福岡県内の30代の女性は、平成18年に食欲不振などの体調不良を訴えて九州大学病院で検査を受けましたが、その後、症状が悪化するまで脳腫瘍などに気付かず、6年後にほかの病院で手術を受けたものの、記憶力が低下し左手にまひが残るなどの後遺症が残りました。
女性は、九州大学病院で受けた頭のCT検査で1.6センチの脳腫瘍の所見が見つかっていたにも関わらず、病院側が見落としていたと訴え、九州大学に慰謝料などおよそ2億円の賠償を求めています。
21日の判決で、福岡地方裁判所の波多江真史裁判長は、「病院の見落としがなければ、早い段階で増大する脳腫瘍を見つけることができた。早期の手術を受けることができていれば、後遺症を防止できた蓋然性が高い」と指摘しました。
その上で、「女性は、洗濯や買い物などで援助が必要で、1人での外出も相当困難な状態にある」として1億5700万円あまりの賠償を命じました。
女性の母親は、会見で、「最初の段階で手術ができていれば、進学や就職もできていた。2度と同じことが起きないようにしてもらいたい」と話しました。
九州大学は、「判決文が届いていないので、届き次第、内容を精査して、対応を検討したい」とコメントしています。

https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20190621/5010004769.html