世界貿易機関(WTO)が韓国による東北8県の水産物の禁輸措置を容認してからまもなく3カ月、旬を迎えた東北を代表する海産物「ホヤ」が大量廃棄に今もあえいでいる。捨てられ続ける状況に歯止めをかけようと立ち上がったのは宮城県塩釜市の飲食店オーナー、佐藤文行さん(59)。「これをヒーローにしないでどうするの」とその味に魅せられ、食の力で現状を打破しようとする活動に密着した。まずは最新の動画をご覧ください。

■終わらぬ禁輸措置 大量廃棄にあえぐホヤ

「ホヤほど健康に効果的で多様な料理に活用出来る食材はない!」と佐藤さんは言う。

塩味の強く、独特の風味を持つホヤは宮城・岩手を中心とした東北地方では日常的に食べられている海産物。むきたての生臭さのないプリプリな食感は地域で長年愛されている。特に旬の時期のものは「梅雨ボヤ」と呼ばれ、肉厚さが際立つ逸品だ。一方で、水揚げ後すぐに皮をむかないと鮮度落ち、匂いがつきやすいことから、東北以外では馴染みが薄い。国内生産量の7割が日本よりもホヤ食が盛んな韓国へ輸出されていた。

しかし、2011年の東日本大震災で事態は一変した。東京電力福島第一原発事故を受けて、食品の放射能汚染を懸念する韓国が東北8県の水産物の禁輸措置に出る。日本政府は解除を求め続け、WTOにも訴えていたが、今年4月、WTOは禁輸措置を容認する最終判断を下した。今も大量のホヤが行き場をなくし続けている。

輸出できなくなったホヤは国が買い取って廃棄される。16年からの3年間で焼却処分された量は1万4000トン以上。政府はホヤ生産者たちに助成金を出し、他の海産物への転作を奨励しているが、佐藤さんは国策に「なんで自ら食文化をなくすようなことをするのかな。(国内向けに)食べ方を提案していく方向にならないのか」と憤る。

■ホヤを守る、決意の脱サラ

32年間勤め続けた会社の経営を息子に任せ、ホヤ料理専門店を開くと決め独立した。きっかけは3年前のある日、漁協関係者から「ホヤをかまぼこに使えないか?」という相談。「ホヤが苦境に陥っている状況をなんとかしたい」。そんな思いから、ホヤを使った新規事業部を立ち上げようとしたが、株主らの反発にあい頓挫。それでもホヤと地元を助けたいという思いは断ち切れなかったからだ。

今でこそ、県内外から客が訪れる人気店だが、開店から1年間は閑古鳥が鳴いていた。県外の知名度はなく、県内では珍しくないホヤ料理の店ということで、客がまったく来ず赤字続きだった。だが、輸送や料理法さえ整えば、ホヤの大量廃棄を解決できるという考えから、諦めずに店を続けた。苦労の末にたどり着いたのは、一番美味しい状態の「梅雨ボヤ」を大量に仕入れ、それをすぐにむいて冷凍する保存法。この方法で、ホヤ流通の壁となっていた鮮度と匂いの問題をクリアできた。

同時にさまざまな調理法を考案。オーソドックスな刺し身以外にも、アヒージョやしゃぶしゃぶ、サラダなどのレシピを生み出し、食材の可能性を広げてきた。今では20種類以上のメニューが並び、塩釜を中心として徐々にファンを増やしていった。

■簡単メニューに込めた思い

生産者や販売者・県が一緒になってホヤを盛り上げる「ほや祭り」が今年も開かれた。

イベントの目玉は来場者の投票でホヤを使った新レシピのグランプリを決める「レシピコンテスト」。約1万人の来場が見込まれているイベントを知り、「ホヤの魅力を伝える良い機会かもしれない」と自信作で挑んだ。

持ち込んだメニューは「ほや唐揚げ」。調理方法は「片栗粉をまぶして揚げるだけ」(佐藤さん)。もともと塩味の強いホヤは、調味料を振らずとも海の香りが沸き立ってくるだけに、味付けいらず。大事なコンテストに簡単な調理法のメニューを選んだのはあるメッセージが込められているからだ。

■「美味しいんだからもっと食べてよ」。

「鶏から喰ってる場合じゃねぇぞ!」

以下ソース先で

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7/5(金) 9:01
https://news.yahoo.co.jp/byline/otashingo/20190705-00132916/