駿河湾サクラエビの不漁を受け静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進める雨畑ダム(山梨県早川町)が台風10号の影響で増水、管理する日本軽金属が17日ごろから洪水吐ゲートを開放した。19日までに、ダム湖の堆積した大量のヘドロが露出。湖底には魚類や水草は確認できず、鉄分が空気に触れて酸化したとみられる赤茶色になった泥土が見られた。
 気象庁の観測で、降り始めからの周辺の総雨量は80ミリ程度。だが、河床が上昇しているため雨畑集落では町道の一部が冠水し、つり橋が崩壊。湖底が粒子の細かいシルト・粘土で覆われている様子を目の当たりにした専門家は「下流域の生物に相当なインパクトがあると考えるべき」と指摘した。
 同社蒲原製造所によると、大雨の際には社内規則のダム操作規定に基づき、洪水吐ゲートを開いて濁水を雨畑川下流に流す。水とヘドロを一緒に下流に流す排砂も実施し、ダム湖の貯水容量を上げる対策を取ることになっている。
 雨畑集落の住民によると、民家に床上浸水被害が出た昨秋の台風24号の際にも長期間ゲートを開放。今回はその時以来とみられる。
 雨畑ダムは高さ約80メートル、長さ約150メートルだが、国土交通省によると2016年度の雨畑ダムの堆砂率は93・4%で全国約500カ所ある中規模以上(500万立方メートル以上)のダムの中でトップ。ヘドロ堆積の詳細な実態調査が急がれる。
 堆砂物を現地で確認した日本陸水学会東海支部会前会長の井上祥一郎氏は「ダムから出る濁りは導水管を経て駿河湾に到達し、海洋環境に影響している可能性が高い」と述べた。

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