厚労省が公表したパワハラ防止の指針案が大ひんしゅくを買っている。誰がどう見ても、防止どころか、パワハラを助長する内容なのだ。

今年5月、企業にパワハラ防止の取り組みを義務付ける「パワハラ防止法」が成立。1年以内の施行に向けて、厚労省は企業向けの指針をまとめているが、21日の労働政策審議会の分科会でトンデモナイ指針案が示された。

指針案では、パワハラに該当しない事例を挙げている。

〈社会的ルールやマナーを欠いた言動・行動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者〉や〈重大な問題行動を行った労働者〉に対し〈強く注意〉することはOKなのだ。

社会的ルール、重大な問題行動、強く注意など使用者が都合よく解釈できる曖昧な表現だ。使用者は「パワハラではなく強い注意だ」と強弁できる。そもそも、どんなワル社員相手でもやっちゃいけないのがパワハラだ。

さらに、パワハラ経営者が大喜びしそうな記載もある。

〈経営上の理由により、一時的に、能力に見合わない簡易な業務に就かせること〉はパワハラにあらずというのだ。

■弁護士団体「使用者の弁解カタログ」

パワハラをやるぞと言ってパワハラをする経営者はいない。「経営上の理由」は、パワハラ経営者が言い逃れをする常套句だ。指針は言い逃れに国のお墨付きを与えようとしているのだ。

指針案が公表されると日本労働弁護団は抜本的修正を求める緊急声明を出した。

〈使用者にパワハラに当たらないという言い訳を許し、かえってパワハラを助長しかねないものであり、「使用者の弁解カタログ」となるような指針などない方がましである〉

厚労省は「いろいろな意見は承知しています。議論を続け、年内をめどにまとめたい。作成しているのは法律ではなく指針です」(雇用機会均等課)と答えたが、日本労働弁護団事務局次長の長谷川悠美弁護士が言う。

「法律ではありませんが、厚労省が示す指針はとても重たい。事実上の解釈のベースになります。パワハラをした経営者が、指針にのっとって行動したと言えば、安全配慮義務違反でないと認定される可能性は高くなってしまう。今以上にパワハラが許される社会になる恐れがあります」

こんなムチャクチャな内容が正式な指針になれば、「パワハラ大国」まっしぐらである。

2019/10/26 06:00 ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/263760
https://c799eb2b0cad47596bf7b1e050e83426.cdnext.stream.ne.jp/img/article/000/263/760/e9690f15bd3b7cf56a94f8c1f0e929bf20191025130845327_262_262.jpg

■関連ソース
「まるで加害者の弁解カタログ」パワハラ防止法の指針案のとんでもない内容
https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakiryo/20191022-00147889/

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