https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20191030-00148924/


萩生田文科相「身の丈」発言で英語民間試験の延期論も〜問題・欠陥はどこにある?
石渡嶺司 | 大学ジャーナリスト
10/30(水) 10:45


24日番組で「身の丈に合わせて」

物言えば唇寒し、と昔から言います。
と言って、発信しないわけにはいかないのが政治家。ただ、いくら何でもまずかったのが萩生田光一・文科相の「身の丈」発言です。
10月24日、BSフジの番組で、萩生田文科相は英語民間試験の利用で不公平感について問われたところ、次のように発言しました。
「それを言ったら『あいつ予備校通っていてずるいよな』というのと同じ」と反論。「裕福な家庭の子が回数受けてウォーミングアップできるみたいなことがもしかしたらあるのかもしれない」と述べた。試験本番では、高3で受けた2回までの成績が大学に提供されることを踏まえ、「自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえれば」と答えた。
(2019年10月28日朝日新聞朝刊「萩生田文科相『身の丈に合わせて』発言を謝罪 英語試験」)

これに野党側が猛反発。
河野太郎・防衛相の「雨男で台風3回」発言と合わせて攻撃材料となってしまいました。
雨男発言は、まだジョークと言えなくもありません。もちろん、被災者感情を無視しているとの批判はあるでしょう。が、この発言で辞任相当か、と言えば、さすがに無理があります。

一方、萩生田文科相の「身の丈」発言は、教育機会の公平性を無視した発言でもあります。

日本国憲法第26条1項
「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」

教育基本法4条
「1 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」
「2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。」
「3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。」

萩生田文科相の「それを言ったら『あいつ予備校通っていてずるいよな』というのと同じ」は、私費負担についてです。
私費負担については、格差や不公平感があったとしても、どうしても個人差が出るのは致し方ありません。それは萩生田文科相の発言通りです。
ところが、BSフジのインタビュアーが質問しているのは共通テストにおける英語の民間試験について。
つまり、公費負担の部分での不公平感・格差について質問しているのに対して、私費負担と同列の論じるのは、無理がありました。
日本国憲法や教育基本法の該当部分を読んでいないとしか思えず、所管大臣としての適性を疑うに十分な発言です。
(リンク先に続きあり)