富士山でニコニコ生放送配信中に足を滑らせた男性について、
たとえ助かったとしても、明るいうちに下山できなかった可能性が出てきた。
7合目付近で見つかった男性の可能性もある遺体については、静岡県警が身元の確認を進めている。

■登山学校講師でアプリ制作者の松本圭司さんは31日、
「先日富士山で滑落した方は、雪のある部分に入った時点で遭難してた」との見方をツイートした。

松本さんは、軽装とみられる姿で登ったのは無知だったからとして、
「遭難はなかなか自覚できず、パニックになっていても自覚できない」
「視野が狭まり自分の状況を俯瞰できない。これは誰にでも起こりうる」と警鐘を鳴らしている。

■地元・富士宮山岳会の工藤誠志会長は11月1日、男性の下山について、

「男性の方が足を滑らせた地点から下山するとすれば、標高2400メートルの富士宮口か、1450メートルの御殿場口か、
のいずれかだと思います。でも、夏山の基準で言いましても、富士宮口まで3、4時間、御殿場口まで5時間はかかります。
冬山で日没も早いですので、17時には真っ暗になります。コースが分かっていたとしても、明るいうちには着けないでしょうね」

工藤さんは、男性がヘッドランプを持っていれば、下山を続けることはできるものの、
それでもコースを熟知していることが必要だとしている。
また、下山を続けていたとしても、低体温症で動けなくなる恐れもあるという。

「風がありますと、10月でも低体温症になった事例があります。男性が山頂にいたときは、
気温がマイナス5度にまで下がっています。指に凍傷ができても動けますが、低体温症になりますと、
脳の機能が低下して動けなくなってしまいます。
また、昼に溶けた雪が夜に固まり、積もった雪が風で飛ばされ、つるつるのアイスバーンになっており、
アイゼンの刃でも少ししか刺さりません。ですから、とても滑りやすくもなっており、
冬の富士山で訓練してから、ヒマラヤ登山を目指す人も多いですね」

■アルピニストの野口健さんは2019年10月31日、
「「ノリだけで登ってしまったような印象も」雪山に登るという自覚が全く感じら