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織田信長の書状見つかる 長篠の戦い直前 一向一揆対処で…
2019年12月19日 4時20分

織田信長が武田勝頼との長篠の戦いの直前に、一向一揆に対処するため今の福井県で政治的な工作を進めていたことを示す書状が新たに見つかり、調査に当たった専門家は多方面に並行して指示を出していた信長のきめ細かな政治の様子などが分かると指摘しています。

この書状は東京都内の男性が古美術商から購入したもので、東京大学史料編纂所の調査でこれまで知られていなかった織田信長の朱印状と判断されました。

調査にあたった村井祐樹准教授によりますと、書状は天正3年=西暦1575年の3月16日に越前=今の福井県の地侍、神波氏に宛てたもので、領地を与える約束をしたうえでますます忠節を尽くすよう求めています。

信長はこの年の8月に越前の一向一揆に対して攻撃を始めていることから、書状はそれを前にした政治的な工作の一環と考えられるということです。

また同じ年の5月には今の愛知県で長篠の戦いに臨み、武田勝頼の軍勢と激突していることから、村井准教授は信長が多方面に並行して指示を出していたことが分かるとしています。

これまで知られていない信長の朱印状が見つかることは珍しいということで、村井准教授は「信長が小さな地侍にも直接指示を出し、非常にきめ細かく政治を行っていたことが分かる。信長の性格や行動の一端が見えてくる史料だ」と話しています。

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