米国防総省が、対戦車ミサイル「ジャベリン」やF35戦闘機で使われるレアアース(希土類)磁石の備蓄を計画していることが、米政府文書で明らかになった。レアアース分野での中国の支配的地位を弱める狙いとみられる。

レアアース磁石は、ほぼ全面的にアジアで製造されている。ロイターが確認した文書で、米国防総省は、レアアースのネオジムを原料とする磁石について6カ月分の供給の備蓄を提案。事実上、関連企業にネオジム磁石の6カ月分の供給量を少なくとも30カ月間維持することを求める内容だ。しかしネオジム磁石製造への金融支援は盛り込まれておらず、業界アナリストや企業幹部は短絡的な措置と批判する。

テキサス州でレアアース磁石工場を建設しているアーバン・マイニング社の幹部は「国内生産能力を強化する措置を期待していた」と語った。

ロイターは前週、 軍事兵器・エレクトロニクス機器の製造に用いる鉱産資源の国内供給体制を確立するため、米軍がレアアース加工工場建設への投資を計画していると報じた。

今回確認した文書によると、国防総省はこのプログラムに1000万ドルを投じ、参画者には最大300万ドル、総額1000万ドルを提供する方針。プログラムへの応募締め切りは2020年1月22日となっている。

国防総省の要請は、ネオジム磁石製造に関する特許を持つ日立金属<5486.T>にプラスとなるとみられる。日立金属のコメントは得られていない。

2019年12月20日(金)16時54分
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