【モスクワ=小柳悠志】第二次世界大戦終戦から来年で七十五年を迎えるのを記念し、ロシア政府が使用する公式戦勝イラストが、発表直後に変更された。ナチスドイツの侵攻を思わせる矢印のデザインに、政治家らがかみついたためだ。


 ロシアのデザイン会社が制作した記念イラストは、右向きの矢印とともに旧ソ連兵が進軍する様子が描かれた。だが第二次大戦は西から攻め込むドイツ軍を東のソ連軍が迎え撃つ構図。右矢印はドイツ軍を示すことになると受け取られた。


 今月中旬、このイラストが公式サイト上に掲載されると、与党議員の一人が「デザイナーは害敵だ」と会員制交流サイト(SNS)に書き込むなど騒動に。数日内に矢印が左向きの新しいイラストに差し替えられた。中部ウラル地方の通信社がデザイン会社に騒動についてのコメントを求めたが、回答はなかった。


 ロシアは、フランス皇帝のナポレオンによって一八一二年に侵攻されて以来、西欧国家の東進に警戒心を抱いているとされる。プーチン大統領も北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大に懸念する発言を繰り返している。


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2019年12月27日 夕刊 東京新聞
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