伸長を続ける冷凍パン市場では、調理場の人手不足などを背景に、「焼成済み冷凍パン」の支持が広がっている。

冷凍パンは、生地を冷凍した「冷凍生地」と、焼いた(焼成した)パンを急速冷凍し、使いたいときにオーブンなどで温める「焼成済み冷凍パン」に分かれる。業界関係者によると、2019年度の業務用焼成済み冷凍パンの市場規模は、前年比8%増の310億円を見込む。一方、業務用冷凍生地は3%増の1430億円と見られる。

焼成済み冷凍パンの市場は、冷凍生地と比べて小さいものの伸長を続けており、今後の期待は大きい。中でも、ホテルやレストランでは調理場の慢性的な人手不足が続いており、焼成済み冷凍パンの引き合いは増えている。ホテルの新規オープンも増えており、提案は活況を見せる。

スーパーなどでは、インストアベーカリーの増加が冷凍パンの需要をけん引している。また、最近は一部のドラッグストアでもインストアベーカリーの設置が進み、ここでも人手不足により、冷凍パンが活用されている。また、冷凍生地と焼成済み冷凍パンを組み合わせて活用することも増えている。メーカーの担当者によると、「少しでも手間を減らすために、冷凍生地でも加工度を上げた商品が求められる」という。

市販向けの冷凍パン商品も、メーカーによっては展開を強めている。ただし、宅配などでは安定した販売を見せる一方、スーパーなどの店頭では、一般消費者からあまり認知されていないのか「店舗に並べてみても、売れ行きは芳しくない。常温のパンも展開しており、多くの方はそっちを購入している」(小売関係者)という話もある。しかし、一部の店舗では常温のパンと冷凍パンの売場を近い場所に設置することで、販売が堅調に推移した例もある。

〈山崎製パンは家庭用「Just Bread Time」拡大、売れ筋は「ライ麦ロール」〉
山崎製パンの焼成済み冷凍パンの取り扱いが拡大している。これまで、業務用が牽引してきたが、今期は家庭用の拡大も進んだ。冷凍生地でも多様化するニーズへの対応を進める。

家庭用の焼成済み冷凍パンは、リニューアル品を2019年1〜3月に販売開始。夏期に新製品を追加した。トースター、レンジで簡単に「焼き立て感」が楽しめる。常温解凍も可能だ。夕食を含め、様々な食シーンでの活用を提案している。統一ロゴは「Just Bread Time」。冷凍で1年間保存可能。

現在は「プチフランスパン」「ライ麦ロール」「塩バターパン」「プレーンベーグル」など、食事系を中心に11アイテムをラインナップ。売れ筋アイテムは「ライ麦ロール」で、「ベーグル」各種も好調な動きだ。

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