前日産自動車会長カルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡した事件で、米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は3日、米陸軍特殊部隊グリーンベレーで活動した経験を持つ民間警備会社の人物ら2人が経由地のトルコ・イスタンブールまでゴーン被告に同行し、逃亡を手助けしていたと報じた。トルコの捜査に詳しい情報筋らの話としている。

 同紙によるとグリーンベレーの経験があるのはマイケル・テイラー氏。逃走計画などの専門家として知られる人物。アフガニスタンで2009年、反政府勢力タリバンに拘束されたニューヨーク・タイムズ紙の記者救出に関わるなど警備業界で著名な存在という。イスタンブールのアタチュルク空港に到着後はゴーン被告と別れ、別の新空港に移動、民間航空機でレバノンに向かった。

 ゴーン被告は29日夜に、トルコの民間ジェット機で関西空港から離陸。アタチュルク空港で別のジェット機に乗り換えたとみられている。

 ジェット機の運航会社「MNGジェット」はフライト後、飛行機から2つの大きなケースを発見。ゴーン被告が隠れていたとみられるケースの底には呼吸用の穴が開いていたほか、移動させやすいように車輪も付いていた。もう1つのケースにはスピーカーが入っており、空港の検査で音響機器と強弁するためだったとみられる。

 ゴーン被告は当初、日本の法廷で争う方針だったが、昨年12月25日に裁判開始日程が大幅に遅れる可能性があることが分かったため、急きょ国外脱出を目指す「プランB」に切り替えたという。

 また、トルコの検察当局は3日、ゴーン被告が民間機で非合法にトルコに入出国していたことが確認されたと発表。ゴーン被告を運んだジェット機2機の操縦士4人とMNGの幹部1人を逮捕した。

 アナトリア通信によると、MNG幹部は事情聴取に対して「レバノンの知り合いから“国際的に重要な仕事”と頼まれた。“助けなければ家族に被害が及ぶ”と脅され、怖くて手配した」と説明した。ただ、搭乗者が誰かは知らなかったと話したという。

 ▽グリーンベレー 米陸軍特殊作戦部隊の通称で制帽が緑のベレー帽であることに由来する。戦場では偵察や対ゲリラ戦で任務を遂行。平時には外国軍訓練や情報収集も担当する。日本では沖縄県読谷村のトリイ通信施設に駐屯している。 

[ 2020年1月5日 05:30 ]
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