国内二輪車市場の長期低迷傾向が続く中、125ccクラスの小型バイク市場が活気を帯びている。大手各社は次々と新製品を投入。かつては市場の7割を占めていた50ccクラスの「原チャリ」を上回る勢いだ。国内でニッチ商品だった125ccがなぜ今、売れているのだろうか。(ダイヤモンド編集部 松本裕樹)

● 原チャリと125ccの 出荷台数が逆転

 二輪車最大手のホンダは2019年3月期、二輪車の国内出荷台数において、125ccクラス(原付2種)が50ccクラス(原付1種)を初めて上回ったと発表した。

 「原付1種の出荷台数が約6万9000台だったのに対し、原付2種は約7万台。もはや原付2種がデファクトスタンダードになりつつある」(ホンダモーターサイクルジャパン)

 それは国内二輪車市場の推移からも明らかだ。
.

 年間出荷台数は下図の通り、1999年の83万7000台から2019年の33万1000台まで、20年間で実に50万台も減少している。

 その最大の理由は、50ccクラスの急減である。同期間の出荷台数は62万1000台から13万2000台へと約5分の1に減少しているのだ。

 一方、125ccクラスは10万6000台から10万5000台と横ばいを維持。50ccクラスとの差は、1999年の51万6000台から、今では2万7000台と僅差に迫っている。50ccクラスはすでに2008年に電動アシスト自転車に市場規模で追い抜かれたが、125ccクラスに抜かれるのも時間の問題だろう。

 実際、スズキの鈴木修会長は17年5月の決算会見で、「海外と同様に国内でも125ccクラスが最小排気量になるのではないか」と発言するなど、各社の軸足は、50ccから125ccへと移りつつある。
.

● 50ccは日本専用の ガラパゴス商品

 国内二輪車市場は少子高齢化、若者のバイク離れなどで長期的に縮小傾向にある。さらに縮小への拍車がかかったのは06年のことだ。

 06年6月から二輪車の駐車禁止の取り締まりが強化。同年10月からの排出ガス規制強化で販売機種数が減少。また、規制対応のために販売価格が上昇した。さらに08年9月のリーマンショックで個人消費が冷え込み、販売不振に追い打ちをかけ、06年には70万台だった出荷台数は、09年には38万台へと半減した。その後、125ccクラスは急回復するも、50ccクラスは減少に歯止めがかからない状況にある。

 なぜ50ccは売れず、125ccが堅調なのか。その理由は大きく3つある。

 1つ目は両者の販売価格差が縮小していることだ。

 そもそも50ccは日本市場だけの専用商品。一方、110〜125ccはアジア、欧州、南米などで主流のクラスのため、スケールメリットによる割安感から50ccとの価格差は縮小している。例えばカブ50とカブ110の価格差は4万円程度にすぎない。

 排ガス規制をクリアするには、多額の開発コストを要する。特に「小排気量ほど排ガス規制が厳しい」(ホンダモーターサイクルジャパン)。50ccはもともと値段が安いので、排ガス対策で価格の大幅上昇は避けられない。そして、台数が売れなければ価格の引き下げは難しく、さらに売れなくなるという悪循環に陥っているのだ。

 今後も世界的に125ccクラスの需要は増加し、50ccクラスは減少する見込みだ。

https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200205-00227751-diamond-000-view.jpg

2/5(水) 6:05配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200205-00227751-diamond-bus_all