絶滅が危惧されるニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」が好漁だ。
2019年12月の漁解禁以降、2カ月間の静岡県内漁獲量は前年同期の約10倍に急増。
漁師から稚魚を仕入れて育てる養殖業者の池がいっぱいになり、休漁期間が設けられた。
全国的にも豊漁で、高止まりするウナギの値段が安くなる可能性が出ている。

シラスウナギの漁期は12月から翌年4月までの5カ月間。
今期(20年)漁の県内水揚げ量は1月末時点で1078キロ。
前年同期の109キロから大幅に増え、前年通期479キロの2・25倍の水準に達した。国内全体の漁獲量も既に過去最低だった前年通期3・7トンを大きく上回っている。

県内では採捕団体と養殖団体の調整により1月24日から西部で休漁が始まり、同28日に全域に広がった。
養殖業者は通年で出荷するため、池に空きが出る2月中にも漁を再開する予定になっている。

県内の休漁は14年漁期以来6年ぶり。
前回は13年漁期の歴史的な不漁を受けて資源保護を目的に実施したが、水揚げ増による休漁は初めてという。
浜名漁協(浜松市西区)の河合和弘組合長は「漁師には痛いが、遡上(そじょう)する稚魚が増えれば資源回復につながる」と期待する。

近年稚魚の取引価格は高騰し、過去2年は1キロ当たり200万〜300万円だった。

今期は県内を含む主産地の多くで100万円台の取引が続く。
日本が稚魚や成魚、加工品を輸入する中国など東アジアも好漁で、県西部の養殖業者は「ウナギの値段に反映されるかもしれない」とみる。

 ウナギの生態は謎に包まれ、稚魚が増えた理由は分かっていない。
保全生態学が専門の中央大の海部健三准教授は「シラスウナギの水揚げは時期や年によって大きく変動する」と話す。
「今期は捕れているというが、過去最低だった前期との比較で変動の一部。長期的な傾向で見れば減少している」と指摘し、継続的な資源保護の重要性を訴える。

 <メモ>ウナギ養殖 稚魚が回遊する24都府県で漁が行われ、稚魚を仕入れた養殖業者が6カ月から1年ほどかけて池で育ててから成魚を出荷する。
養殖は31都府県で行われているが、静岡県内で水揚げした稚魚は漁業規則により静岡県内の養殖業者にしか出荷できない。
稚魚の池入れ量は国の規定で上限21・7トンに決められ、静岡県内は57業者が2・4トンを上限に養殖している。

2/17(月) 17:00配信
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