https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202002/sp/0013135977.shtml

職員室で飛び交う「死ね」「カス」 調査委が感じた闇
2020/02/21 23:45




 「死ね」「カス」−。職員室で信じられないような暴言が飛び交っても、止める先生はいない。神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言問題を巡り、21日に公表された報告書。調査委員長を務めた渡辺徹弁護士は会見で「闇があると感じた」と述べ、「加害教員個人の資質の問題にしてはいけない」と強調。ハラスメントに気付くことも対応することもできず、職員室を異様な雰囲気にした管理職の責任を指弾した。

 「赴任当初から、日常的に職員室内で汚い言葉が飛び交ったり、手が出たりしていた」
 2018年に東須磨小へ転任した加害教員は、調査委の聞き取りにそう答えたという。報告書では「とにかく私語が多く、かつ平気で『死ね』『カス』などの暴言や下ネタが飛び交う職場」と表現。渡辺委員長は「全貌を解明できたかは分からない」とし、「それなりに闇があるなと感じた」とも話した。

 調査委が加害教員の資質に次ぐ要因として挙げたのが、歴代校長らの在りようだった。前校長については「死ね」「つぶす」「あいつはもう公開処刑や」など威圧的な言動を繰り返していたと多くの教員が証言。「その姿勢自体が加害教員らの異様な言動を違和感なく発生させた」と指摘した。

 ただ、パワハラ行為について本人は具体的な心当たりがなく、「職場の雰囲気が悪いことすら気付いていなかった」と説明。渡辺委員長は「威圧的な言動について『訴えている方がおかしい』という感じで否定され、強い違和感を持っている」とした。
 現校長も「加害教員らをコントロールできていないと(周囲の教員に)受け止められ、次第に職員室内の風紀が緩み、ハラスメントを助長した」と批判した。
 こうした管理職の姿勢もあり「(ハラスメントを繰り返す)状況を容認、助長するような空気が校内にあったと結論付けざるを得ない」とした。

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 続いて重苦しい雰囲気で始まった市教委の会見。前かがみで額にしわを寄せて会場に入ってきた後藤徹也教育次長は冒頭「学校生活の混乱により心に傷を負った児童や保護者におわびする」と10秒ほど頭を下げた。いじめを防ぐ立場にある教員が125項目ものハラスメントに加担したことが認定され、「お恥ずかしい限り。学生気分が抜け切っていない」とうなだれた。
 その後は再発防止策を説明。「基本的な人権感覚から取り戻す必要がある。取り返しのつかない不信感を子どもに与えてしまった」と謝罪した。(井上 駿、長谷部崇)