安倍晋三首相(自民党総裁)は4日、新型コロナウイルス感染症対応の法整備をめぐり、国会内で立憲民主党の枝野幸男代表ら野党5党首と個別に会談した。政府が検討中の改正案は、現行の新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に新型コロナを加えるもので、首相は早期成立に協力を求めた。野党側は政府の対応の遅れを批判しつつも、法案の審議に協力する姿勢を示した。

 会談は同日午後6時前に始まり、公明党の山口那津男代表や自民党の二階俊博幹事長らが同席。首相は、立憲のほか、国民民主、共産、維新、社民の党首と会談した。

 政府案は、新型コロナを指定感染症にした2月1日にさかのぼり、2年を限度に、政令で定める日まで同法の適用対象とするもの。「最長2年」は、指定感染症の期間や、私権の制限などを含めて政府や都道府県知事が強い権限を持つ緊急事態宣言の実施すべき期間が「2年を超えてはならない」とする現行規定に合わせた。

 実際に宣言するには、国民の生命や健康に著しく重大な被害を与える恐れがあり、生活や経済にも甚大な影響を及ぼすなどの要件がある。首相は会談後、記者団に「最悪の事態も想定し、緊急事態宣言などもう一段の法的枠組みの準備が必要であると判断した。野党の協力をいただき、一日も早い成立を目指したい」と述べた。政府・与党は来週中の成立を目指す。

 野党側は法案審議に協力する姿勢だが、改正後の緊急事態宣言に慎重な姿勢を示した。会談後、枝野氏は記者団に「緊急事態宣言を出さなくてもいいように抑え込むことが政府の責任だ」と述べた。また2月にさかのぼっての適用は「意味がわからない」と指摘した。国民民主の玉木雄一郎代表も「私権の制限を遡及(そきゅう)してやるのはどうなのか」と言及。共産は法改正に反対の姿勢を示した。
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