政府が新型コロナウイルスの感染拡大防止のために要請した小中学校の臨時休校で提供予定だった給食がなくなり、全国の製パン業者が被った損失額が約50億円に上ることが分かった。業者でつくる全日本パン協同組合連合会は「給食向けだけで経営している業者もあり、業界の死活問題だ」として政府に補償を求めているが、明確な方向性は示されていない。

連合会関係者によると、給食用パンはおおむね市町村と契約した各都道府県の「給食会」が原材料を仕入れて製パン業者に製造を委託し、委託業者が各小中学校に届ける。業者は中小企業が多く、給食専業で経営している業者もある。

連合会加盟の福岡県パン協同組合連合会では、給食パンの提供業者は15(一部は米飯も提供)あり、うち10業者は給食専業。3月の給食提供予定日数は14日間で、1日当たりの提供数は約30万食。1食当たり費用を約40円と計算すると、損失は福岡県分で約1億7千万円に上る。関係者によると、全都道府県に問い合わせたところ、全国分では約50億円に達する見込みだ。

政府が10日に示した緊急対応策では、給食休止関連で給食費の返還支援や、生乳を加工用に転用する場合の価格差分の補助などが打ち出されたが、パン業者については触れていない。

所管する文部科学省は対応について「検討中」としている。福岡市教育委員会の担当者は「基本は納入された分を支払う契約。今回のようなケースで委託業者の損失をどう穴埋めするのか、国の通知を待っている」とした。 

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2020年3月13日 6時0分