マイクロソフトの共同創業者で慈善家のビル・ゲイツ氏は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の前から国際社会で台頭していた国家主義的な政治のあり方は「助けにならない」とタイムズのインタビューで語った。

「この状況で何をやってきたかという点で、A評価を取れる人はほとんどいない」とゲイツ氏は言う。

ゲイツ氏は特定の政治指導者への批判を避けているが、イギリス、アメリカ、ブラジル、インドなど多くの国が近年、国家主義(ナショナリズム)へと移行している。

ゲイツ氏は以前、世界保健機関(WHO)への資金拠出を停止したアメリカのトランプ大統領の決断を批判していた。

マイクロソフトの共同創業者で慈善家のビル・ゲイツ氏は、国家主義の台頭が新型コロナウイルスのパンデミックに立ち向かう国際社会にとってマイナスになったと考えている。

タイムズのインタビューで、今の政治家たちが危機対応の役割を果たせているかどうか尋ねられたゲイツ氏は、言葉を注意深く選びながら「戦争を始める時は今いる指導者たちと始める。それがうまくいったかどうか判断できるのは、あとになってからだ」と答えた。

「世界がナショナリズムに向かい、国家は自国を大事にするというあり方は助けにならないと、わたしは考えている。もっと早く(人々に行動を起こさせるための)スローガンを掲げるべきだった。この状況で何をやってきたかという点で、A評価を取れる人はほとんどいない」とゲイツ氏は付け加えた。

同氏は特定の国を名指しするのを避けたが、イギリス、アメリカ、ブラジル、インドなど多くの国が近年、国家主義的な政治へと向かっている。そして、イギリス、アメリカ、ブラジルはいずれも新型コロナウイルスの脅威レベルを当初軽く見ていたまたは今も軽く見ている。

4月中旬、ゲイツ氏はWHOへの資金拠出を停止したアメリカのトランプ大統領の決断を批判した。大統領が資金拠出を停止すると報じられた翌日、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は新型コロナウイルスとの戦いのために追加で1億5000万ドル(約160億円)を提供すると発表した ── これで財団の資金提供額は、すでに表明していた1億ドルと合わせて2億5000万ドルになった。その後、財団の全てのリソースは新型コロナウイルスとの戦いに充てると、ゲイツ氏は述べた。

また、同氏はロックダウン(都市封鎖)の実施について、政府が強引だったとは思わないとタイムズに語っている。ロックダウンしていなければ、わたしたちは感染症の拡大と景気後退の両面で「最悪」の事態になっていただろうと、ゲイツ氏は見ている。

「死亡者数が何百万人にものぼれば、より多くの人が自分たちの行動を変えるだろうが、それは極限状態だ」

イギリス政府は当初、新型コロナウイルスの感染拡大を許すことで「集団免疫」の獲得を目指す方針を示していたが、トップの科学者がこのプランでは51万人が犠牲になる可能性があると警鐘を鳴らしたことで、方針転換した。その後、イギリス政府は集団免疫の獲得が正式な方針だったことはないと主張したが、政府の首席科学顧問パトリック・ヴァランス(Patrick Vallance)氏は3月、テレビのインタビューでこのアイデアを支持する発言をしていた。

5/7(木) 8:10配信
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