新型コロナウイルスの感染拡大の影響による小中学校の休校や飲食店の営業縮小などを受け、新潟県内の牛乳の流通が滞っている。牛乳は売れなくても減産が難しく、大量に余れば廃棄や乳牛の殺処分を迫られる可能性もあり、酪農関係者からは苦しい声が上がる。

 県内の小中学校約140校に給食用牛乳を供給する塚田牛乳(新潟市江南区)では、休校措置で余った生乳の対応に追われた。

 例年は、学校の長期休暇に合わせて牛乳の需要と供給のバランスを取る。供給が多くなるときは、その分をバターや練乳など乳製品の加工に回していた。

 しかし今回は休校措置が突然決まった。同社の塚田正幸社長(71)は「生乳の供給は急に止められないため、タンクは満杯の状態だった。牛乳の生産が減った分をなんとか加工に回し、保存が利くようにして廃棄は免れた」と話す。

 同社では、仕入れた生乳の年間平均13〜14%ほどが給食用に回っている。その分の仕入れと販売は休校で止めており、レストランや洋菓子店などで使われる業務用の牛乳も営業縮小で需要が落ちている。在宅で生活する人が増え、家庭用の消費が少し増えているとはいえ、塚田社長は「やはり学校がいつ再開するかが分からないと、売り上げなどの先行きも見えない」と話す。

 新潟県を含む北陸4県の酪農家から集めた生乳を、乳業会社へ仕入れる北陸酪農業協同組合連合会(北陸酪連、新潟市中央区)は、さらに苦しい立場だ。簡単に生産を止められないためだ。

 2019年3月の県内の学校給食向けの牛乳生産量は409トン。それが20年3月は18.5トンと約20分の1にとどまった。一方、加工用の牛乳は257トンと、19年の約4倍に上った。乳業会社が生産量を落として、生乳の仕入れ量が減っていることもあり、給食用を含む、行き場を失った牛乳の多くが、加工用に回った形だ。

 県内には加工工場が少なく、受け入れ先を探して、茨城や四国、九州の工場まで運ぶケースもあった。代表理事専務の佐野芳幸さん(66)は「なんとか生乳が廃棄にならないように、ギリギリで処理をしてきたが、今後も事態が続くようだと厳しくなってくる」と話す。

 懸念されるのは、乳製品が過剰生産され、全国的に飽和状態となり、生乳が処理できなくなることだ。牛乳の生産量は5〜6月がピークで旬を迎える。ただ、乳牛は毎日搾乳しないと、体調を崩して病気にかかってしまう。病気になった乳牛は回復が遅く、乳牛を殺すしかなくなってしまう。新しく生まれた子牛が乳を出せるようになるまで時間もかかるため、新型コロナウイルスの収束後に生乳が不足する恐れもある。「単純に牛乳は日持ちもせず、細かな生産量の調整ができないのが現実」と佐野さんは話す。

 加工用は飲用より約3割価格が安く、加工用に回る量が増えるほど酪農家の収入は減る。現在は国の補助金で補填(ほてん)できているが、この先も補助金が続くかは不透明だという。

 佐野さんは「こういう事態は初めて。事態が早く収束する事を祈るしかない。消費者には、もう一つ乳製品を普段より多く買ってほしい」と訴える。

毎日新聞 2020年5月9日 11時37分
https://mainichi.jp/articles/20200509/k00/00m/020/080000c
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