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http://idsc.nih.go.jp/iasr/28/325/dj3259.html
日本の発生状況

日本では1947年3月に伝染病予防法に基づく狂犬病の患者届出が開始され、1949年には74例と最も発生が多かったが、
1950年に強力な狂犬病予防法を制定することにより、1951年以降急速に減少し、
1956年のヒトとイヌ、1957年のネコを最後に国内からの狂犬病を撲滅することに成功した(図1)

その後は、1970年にネパールから帰国した青年が国内で発症した輸入例1例のみが報告されていた。

1999年4月より狂犬病は感染症法に基づき、4類感染症として患者を診断した医師に全数届出が義務づけられており
(本号18ページ参照、届出基準はhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-11.html)、
2006年2例が報告された。


◆狂犬病ワクチンにおける問題点

日本は2006年まで36年間狂犬病の発生がなかったため、その恐ろしさが忘れ去られ、狂犬病に関する情報が行き渡っていなかった。
そのため、旅行者が海外で不用意にイヌや野生動物と接触を持つことの危険性の認識が甘くなっていた。
(中略)
年間3万人以上の死者をだす狂犬病流行国であるアジア諸国には中国に約250万人、タイに約100万人、フィリピンに約40万人程度渡航していると推定される。

日本でのワクチン生産量を考えると、アジア諸国への渡航者すべてに曝露前ワクチン接種をすることは到底不可能である。
狂犬病感染のリスク(渡航地域、渡航期間、渡航目的)を考えた上でのワクチン接種が求められる。
加えて、国民への狂犬病に対する適切な啓発も重要と考える。