中国の全人代=全国人民代表大会は、最終日の28日、香港で反政府的な動きを取り締まる「国家安全法制」を導入することを決めました。香港では、中国の統制が強化され、高度な自治を認めた「一国二制度」が崩壊しかねないとして、抗議活動がさらに激しくなることも予想されます。

中国の全人代は28日、最終日を迎え、日本時間の午後4時すぎから北京の人民大会堂で習近平国家主席らが出席して議案の採決を行いました。

この中で、抗議活動が続く香港で反政府的な動きを取り締まる「国家安全法制」を導入することを決めました。

内容について、これまでの説明では、今後、中国政府が主導して香港の治安維持のための法律を制定するとともに、必要に応じて、中国の治安部門が香港に出先機関を設けて活動を行うとしています。

また、導入によって国の分裂や政権の転覆など、国家の安全に重大な危害を与える行為や、外国勢力の香港への干渉を防止し、処罰するとしています。

今回の決定によって、香港では中国の統制が強化され、高度な自治を認めた「一国二制度」が崩壊しかねないとして、抗議活動がさらに激しくなることも予想されます。

■全人代委員長 導入の意義を強調

全人代の閉幕にあたって栗戦書委員長が演説し、香港で反政府的な動きを取り締まる「国家安全法制」の導入を決めたことについて、「一国二制度の堅持と改善に向けた重要な措置であり、香港の同胞を含む中国人全体の利益となる」と意義を強調しました。

そのうえで、「今後、関係する法律を制定し、法に基づいて国家の主権と安全を守り、香港の長期にわたる繁栄と安定を維持していく」と述べ、法整備を進めていく考えを示しました。

■香港での「国家安全法制」とは

香港での「国家安全法制」は、香港における中国政府への敵対的な行為や外国勢力による内政干渉を取り締まるため、中国政府主導で導入しようとしている法制度です。

これについて李克強首相は、今月22日の政府活動報告で、香港で「国家の安全を守るための法制度と執行メカニズムを確立しなければならない」と述べ、法律の制定と執行メカニズムの確立を目指すとしています。

1997年の香港返還に合わせて制定された香港の憲法にあたる基本法の23条には、香港政府は国家の分裂や中国政府を転覆するなどのいかなる行為や、外国の政治的組織や団体が香港で政治活動を行うことを禁止するための法律をみずから制定しなければならないと定められています。

これに従って、香港政府は2003年に条例の制定を目指しましたが、50万人規模の抗議デモが起きて撤回に追い込まれ、それ以来、制定に向けた動きは止まったままです。

香港では去年、容疑者の身柄を中国本土にも引き渡せるようにする条例の改正案をめぐって大規模な抗議活動に発展したことを受けて、習近平指導部は去年10月の党の重要会議で、香港に対する新たな法制度の整備を進める方針を打ち出しました。

中国政府は「香港政府が国家安全を守るうえで厳しい情勢に直面し、みずから立法できない状況のなかで、全人代が関連の決定を下すのは必然的な選択だ」としていて、香港政府がみずから法律を制定するのは困難だとして、中国政府主導で法整備を行うことを判断したとみられます。

「国家安全法制」では、今後、中国政府が主導して香港の治安維持のための法律を制定するとともに、必要に応じて、中国の治安部門が香港に出先機関を設けて活動を行うとしています。

また、導入によって、香港での国家の分裂や政権の転覆、テロ活動など、国家の安全に重大な危害を与える行為や、外国勢力の香港への干渉を防止し、処罰するとしています。

法律の具体的な条文については、今後、全人代の常設機関である全人代常務委員会が制定するとしています。

「一国二制度」のもと、高度な自治が認められている香港では、原則として中国の法律は適用されませんが、基本法の18条では例外的に中国の法律を基本法の付属文書として追加することができるとされています。

中国政府は「国の安全に関する立法は、国の立法権に属する」として法整備を正当化していますが、香港の人々の間では、高度な自治を認めた「一国二制度」が崩壊しかねないとして、懸念の声が広がっています。

2020年5月28日 17時24分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200528/k10012448801000.html?utm_int=news_contents_news-main_001

★1が立った時間 2020/05/28(木) 16:14:11.50
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