英国の欧州連合(EU)離脱を受け、日本と英国が新たな貿易協定交渉を9日にも始めることが分かった。来年1月からは日欧経済連携協定(EPA)の関税が英国に適用されなくなるため、両政府は年内早期の締結を目指す方針。農産物では、日欧EPAで輸入枠を設けた品目の扱いが焦点となりそうだ。

 外交筋によると、茂木敏充外相と英国のトラス国際貿易相が9日にテレビ会談に臨み、交渉の立ち上げを確認する。英政府は5月に日本との交渉を始めると発表。新型コロナウイルスの影響で、交渉はテレビ会議方式とする見通しだ。英国の将来的な環太平洋連携協定(TPP)加盟の足掛かりとなる可能性もある。

 英国は1月のEU離脱後も、今年末までは移行期間として日欧EPAの関税率を適用。新協定が発効しなければ、来年1月から関税率が元に戻る。

 これを避けるには、日本では秋に召集される臨時国会での承認が必要となるため、両政府は日欧EPAを基に早期の妥結を目指すとみられる。

 農産物交渉では、英国向けにも輸入枠を新設するかどうかが焦点となる。新設を認めれば、英国を含む日欧EPAで約束した輸入数量を超えることになるためだ。日欧EPAでは25品目に輸入枠を設置。英国から輸入がある品目では、ソフトチーズや麦芽などがある。

 交渉開始に先立ち、自民党TPP・日EU・日米TAG等経済協定対策本部(本部長=森山裕国対委員長)は8日にも政府への申し入れを予定。輸入枠の扱いを含め、農産物の開放水準が過去のEPAを超えないことなどを求める方針だ。

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